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カテゴリ:チュクルジュマ界隈のこと、または猫ばなし
【1月9日・月曜日】 天気予報は各ニュース局で独自の分析をしているのか、多少違っていることがある。しかし、今回の大雪に限ってはどの局の足並みも揃って、降雪は4日から5日くらいの間、たまに止み、また降る、というパターンで続く、となっていた。 本日は3日目の大雪で、牡丹雪だったり、サラサラの粉雪風だったりときどき変化するが、かなりの勢いで積もり続けている。 朝、目覚めたとき、ベッドから見える柿の木の太い枝に、今までで最高に雪が積もっているのを見てがっかりした。まる3日半降り続けている。月曜日だが、イスタンブールの学校も休校措置が取られた、 金曜日の夜、吹雪を避けた場所にキャットフードを置いて来てあるが、果たして食べに来ているだろうか、夕方早めに餌の減少具合を確かめに行き、減っていれば食べにくる子がいるのだから、足してやる必要もあるし、と思っていた。 夕べのうちに水に漬けておいた小豆を茹で、米と少々残っていたもち米を入れて1.5合の赤飯を炊き、残りは茹で小豆にした。手持ちの食材もかなりあるので、今週いっぱいの籠城に耐えられそうだ、と冷蔵庫の中味を見ながら計算し、猫の方も今週末まで大丈夫そうだ、と胸をなでおろす。 赤飯は、別にめでたい時でなくとも食べたい時に炊きます。 4時過ぎに台所に行って外猫達の餌を準備しているとき、ふと猫の鳴き声が聞こえたような気がして、窓を開けてみると、保育所の庭を挟んだ向こう側のアパルトマンの窓枠の内側に、1匹の猫が上って来ていて、その隣のアパルトマンの男性と、2軒下の家の女性がなんとか餌をやろうとしているのだった。 モフモフのもふ男が長い毛も濡れそぼって、向こう側の家の窓の枠にいます。 その猫は絶え間なく降る雪のせいで見えにくかったが、もふ男に違いなかった。普段はほとんど付き合いのない人々なのだが、男性が「腹をすかしているんですよ。餌を投げてやると雪に埋まってしまうから見つからないようです」と言った。 私も「普段、私がいつもこちらの下の通路で餌は食べさせているのですが、今日は余りに雪が積もって猫も来られないし、私も行ってやれないんです」と答えた。 2軒下の階の女性は、棒の先にスーパーのビニール袋に入れたキャットフードを猫のいる隣の家の窓枠に背伸びしながら何とか置いてやったが、もふ男は中に餌があるのに気がつかない様子である。 さらに女性は、自分の家の周りにめぐらされたコンクリートの壁に、タオルケットを掛け、それを猫のいる窓際に押し込もうとしたが入らない。諦めてタオルケットを持って引っ込んでしまった。 私は上の階の男性に「今試しに餌を持ってこちらの通路に猫が来られるかどうか外に出て、呼んでみますよ」と声をかけ、厚い綿入れのコートを着て、毛糸の帽子、ウールの襟巻、手袋と杖代わりの傘を持ち、靴底がギザギザで滑りにくいスポーツシューズを履いてアパルトマンの外に出た。 家の後ろの通路に行くのに、ヒマラヤ登山のような覚悟で歩き出すと、何しろ幅1mの通路の両側に、大工のブラック・ウスタが古木材をたくさん立てかけてあるので、身体を横にしないと通れないし、雪が30~40センチも積もっているので、杖があってもずぶずぶと足がめり込んで、立てかけてある古扉に積もった雪がどどど、と落ちて来るのだった。 いつものように「チョジュックラ~ル、ご飯だよ~、ピスピス、ピスピス!」と呼びながら奥に進んだが、記念に写真を撮ろうとデジカメを構えた途端、隣の2階建ての木造店舗の屋根から滑り落ちた雪の一部が毛糸の帽子と背中に当たった。うわ、大きな塊となって落ちて来た雪に埋まって、命を落としたテイゼ(老女)になったら大変だ。 右側にある木造建築の2階建の屋根から落ちてきた雪です。 7階のうちのアパルトマンから落ちた雪でなくてよかった。私はようやく32.5センチの高さの階段がもっと高くになっているので、非常に苦労しながら傘を突き立て、短い脚を思い切り伸ばして一段上ると、上の段の雪を傘で払い落しながら全部で5段上った。 アパルトマンの脇の通路。以前は、ここに猫の餌皿を置いただけでも怒った ブラック・ウスタは、自分で山のような古材置き場にしてもう6~7年経つ。 ここは階段を上って猫達の餌場のあるところ。 雪に完全にうずもれている通路の餌場。 やっと上ってきました。転んだら大変です。 餌のキャットフードがたっぷり入ったビニール袋の口を大きく 開けて雪や雨に濡れないように、古扉の陰に置いてきました。 そこでもふ男を呼んだがやってくる気配はなく、立てかけてある古扉の陰に餌の入ったビニール袋の口を大きく開けておいて来た。 帰りもこわごわ、雪だらけになりながらやっと玄関まで戻ってきたが、玄関には元カプジュの息子の大きなオートバイが後生大事にしまいこんであり、玄関スペースの半分を占領していた。 人でなしの元カプ一家は、とっくに立ち退き命令を出されて、権利のないところに居座っているくせに、玄関前の雪かきをしようともしないで、自分の息子のオートバイだけは、どっかりと中に入れて濡れないようにしているのだった。 わが家の下の階の息子シモンが、中学校時代に通学用の自転車を中に入れたところ、元カプが意地悪く絶対に置かせないので、仕方なくいちいち、階段で3階の自宅のベランダまで運んでいたことすらある。 玄関前で帽子やコートにいっぱいついた雪を払ってから4階に戻ったが、台所の窓から覗いてみると、先ほどの向かいの窓に、まだもふ男は座っていた。私はもふ男に呼びかけながら、すぐ目の前にスーパーの袋に入った餌のあることを教えようとしたが、何度叫んでも彼には通じない。 もふ男はいくら教えても目の前の袋にキャットフードがあることを理解せず、 やがていなくなってしまいました。お腹をすかしてどこに行ったのでしょう。 悲しい鳴き声を立てるだけなので私も諦め、そのうちにもふ男の姿も見えなくなった。もふ男は雪を防げる場所に行ったのだろうか、窓の外で凍死していたらどうしよう、と私は気が気でなくなり、夜中にも何度も懐中電灯で照らしてみたが、やはり窓際にいる様子はなく、雪は相変わらず激しく降り続いて、余り安眠出来ないうちにもう次の朝が来たのだった。つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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