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夢みるきのこ

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2011年11月14日
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 鬼の子伝の執筆を続けるにあたり、葛野秦氏の本貫地・嵯峨野を抜け、愛宕山をムックきのこクラブの人たちと目指した。
10時清滝バス停集合としたので、僕は5時に起床して、嵐山から徒歩で清滝まで秦氏のことを念頭に置きつつ歩いた。途中落柿舎とこれまで度々訪ねた去来の墓に詣でてきた。
 去来の墓は、僕の好みにぴったりのちいさな碑(いしぶみ)で何時来てもうれしくなる。
俳諧師にふさわしい墓である。こうした無数の鬼の子たちが我が国の今日までを支えてきたことを思わずにはいられない。

 写真は向井去来の墓。供花と比べればその大きさはおわかりいただけると思う。我が国の律令制以来の身分制度、貴、良、賤 の三層構造の賎こそがわが国の歴史を推進してきた。この層こそが、百姓(オオミタカラ)からドロップアウトした膨大な数の無名の人たちであり、彼らは国家的忠誠よりも、最下層の民たちの魂の救済を真剣に考えた人たちを輩出した階層で多くは墨染の衣を着し、自ら表の世界からは賎民の身分に甘んじながら、国境を自由に往来できるポジションを確保し、その中から傑出した一部のものは裏の世界で、すなわち心の世界での真実に生きようとした人たちだ。空海、最澄にはじまり芭蕉や蕪村につながる墨染の僧形の非・良民の伝統である。  
 なぜ僕がきのこという不思議な生き物に魅せられたかを問い詰める中でつかみとった鬼の子の世界。それは非・良民たちの意気に感じるものであったとは実に痛快である。





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最終更新日  2011年11月14日 19時50分22秒
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