|
カテゴリ:きのこの文化誌・博物誌
チェルノブイリ原発事故より四半世紀が過ぎ、風化著しい2011年、封印された立ち入り制限区域の町プリピャーチを舞台に初めての劇映画がつくられた。原題はLand of Oblivion(失われた大地)。
監督は女性でミハル・ボガニム。 主演女優のアーニャを演じるのは、1979年11月14日ウクライナ生まれのオルガ・キュリレンコ。かってMOOKきのこで紹介した小川洋子原作のきのこが登場する映画「薬指の標本」で映画デビューを果たしたあと、08年007映画シリーズの「慰めの報酬」でボンドガールを演じたのでご存知の方も多いと思う。 チェルノブイリ事故は、その後の世界に本当の意味で尊い経験とは成り得ていない。とりわけ福島原発事故以後のわが国にとっては、原子爆弾を2度も浴び、第五福竜丸事故も体験した最大の被害国であるにも関わらず全く顧みられることのない過去の事実となってしまった感すらある。そしてついこの間、安倍総理は厚顔無恥にも首脳会議では東南アジアへの原発輸出まで明言してきたと聞く。 日本は本当に信じられないことだが、何かがおかしいのだ。 この映画は、そんな信じがたい現代の日本を生きる僕たちに、ノンフィクションではどうしても伝えられない事故の悲惨さとその後のそれぞれの人生を日常生活の中での真実としてフィクションという手法で再構成し、原発と付き合うということはどういうことかをあらためて突き付けてきたように思える。 気がついた時には最終日1回きりの上映だったので、多くの方に観てほしかったにも関わらず果たせなかった。また、ゲリラ的に上映される機会もあると思うのでご注目のほど。
中央の花嫁姿がオルガ・キュリレンコ。原発事故のあくる日結婚式を迎えるヒロイン役 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年05月10日 18時29分50秒
コメント(0) | コメントを書く
[きのこの文化誌・博物誌] カテゴリの最新記事
|