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カテゴリ:ムックきのこクラブ
目指すは若かえで!。写真はイロハモミヂの圏(けん) きのこをはじめとするいきものや自然観察会の限界は、きのこや環境教育世界の指導者として四半世紀以上を費やしてその参加者たちから後進を育てようとしてきた私の中では既に明白である。それは、結局は言葉、文学の欠如、もっと明確に言えば想像力の欠如なのだ。25年以上おつきあいして、自身の寄る年波のことをふと意識した結果、一足お先に脱皮することにしたのだ。 きのこの場合は、分類学という落とし穴がこえがたい淵を成してきた結果、僕がたのみにしてきた異能の人たちは菌類学あるいはスーパーきのこの世界を目前にしながらきのこきのこと十年一日の如く唱えながらその淵に次々と自ら投じていった。僕はそれをただを虚しく見つめるほかなかった。 しかし、すでにスーパーきのこの時代に突入して25年以上も経過しているのだ。にも関わらず、そうした先例を数多く見つめてきたはずの人たちでさえ、いまだにスタート地点で足踏みしている現状にほとほといやになったのだ。 僕は30年近く前にはグループきのこ星雲を立ち上げ日本産きのこの戸籍調べをやろうと息巻いていたが、そんな折りも折り「ネイチャー」誌は、知る人ぞ知るきのこの論文を掲載した。それは、北米の広大な土地の方々に発生したナラタケのDNAが同一であることからその広大な地域全体に単一のナラタケの巨大菌根が存在することを逆証明したものだった。 その記事にふれ、僕の周りに集まって来ている真摯なきのこの愛好家たちをどこへ導くべきかを悩み抜いて僕はJ-FAS日本キノコ協会を立ち上げる決意をしたのだ。その当時も今も、そこから旅立って自由な天地を目指す人はきのこ世界には皆無だったことになる。「このきのこ食べられますか」という疑問を投げかけてくる人たちに答えるのには食文化すら必要ないのだ。この現実は実にさびしい。せっかくきのこという愉快きわまりなく、しかも不思議な生き物と出会いながら、その出会いの意味を考えようとしない人というのは、決して僕の友ではありえない。 ともあれ、随分と回り道をしてしまったが、それは無駄ではなかった。この25年追随者を待ちながら考えてきたことがすでに動きだしており、ムックきのこクラブにはそうした新しいステージへの可能性を秘めた美女たち(目下のところ美青年にはおたく系はいてもヘテロ世界への飛翔に耐える翼を持った人物は見当たらない)が集いはじめ、僕の中でもビジョンがすでに明確な像を結び始めている。 もう10年もすれば、スーパーきのこ世界の担い手は、きのこの名前を何百言い当てることができるかではなく、そのステイタスとしては「きのこポエム」をたしなんでいますなんてことが当たり前になっているだろう。 なんとなれば「きのこは言葉である」ということは想像力を駆使して世界を捉えなおすまなざしの有無なのだから、まずは言葉が共有でき、きのこの彼方の世界を具現する文化創造の協同事業にコミットできる人であることは当然である。あくまでちょっと背伸びの庶民の文化を目指す次世代型のきのこファンは短い言葉で通じ合えることがなによりも大切だ。 そしてそうした大前提に立つ人たちが手がける次なる生活の手段が、きのこを通して見えてくる近未来型(いや、菌未来型かな?)の農に通じるユニークな産業であり民芸に通じるアートなのだ。それはやがてきのこシアターという人と自然の総合化を目指すプロジェクトとして形にしたい。 そのためには、労働意欲をもったきのこ大好きな若い世代の人たちが老後までアートを楽しみ、生活の糧をそこそこ得られる生活ができて、しかも群れないコミュニティー建設がもっとも手っ取り早いだろう。僕のNEXT STAGEは助走を始めてすでに3年目に入っているが、少しずつ具体化へのピッチを挙げて取り組んでいきたい。 繰り返し言うが、ス―パーきのこ世界に具体的なきのこはあってもなくてもよい。それはきのこポエムがきのこを詠むことではないのと同様である。 僕の言うきのこアートが必ずしもきのこを対象としたものでないこともまた同様である。 ただ、年に数回程度、野山をさすらいきのことの出会いを楽しむ機会をもつことはきのこポエムのレッスン同様必須のことなのだ。そして世代、国籍を超えてその時々のトピックスやトポスの情報を分かち合うこと。ムックきのこクラブはきのこを通してさまざまなことを語り合う林間サロンだ。 そして「きのこの前の一切平等」を提唱するきのこの文化とはあらゆる差別を克服する努力の中にこそ見出される瞬間芸術のようなものだ。 人間それぞれの心に巣食う差別意識の真の克服はどんなに努力しても反自然でしかない多様な人と自然界の生物たちとの多様性の統一の中でこそ実現しうると考えるからだ。そんな意味でもムックきのこクラブの役割は大きい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年05月14日 20時49分09秒
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