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カテゴリ:ムックきのこクラブ
浄瑠璃寺から岩船寺へ至る道すがら出会う石仏はいずれも素晴らしいもの揃いだ。唐臼(カラス)の壷の二尊像、笑い仏、三体地蔵、弥勒・線刻磨崖仏などなど。全うな雨季であれば、竹林のキノコたちに出迎えられての旅となるはずだったが、この度の当尾の旅は過乾燥でハラタケグル―プのきのこは夏のカラカラの時期に強いヒビワレシロハツRussula alboareolata 1個体のみであった。ラテン名のalboは白いきのこ、areolataは小さな孔のあるという意味で、このキノコの成菌の傘のヘリの溝線に粒点(小孔)がつらなるといった特徴をしめしている。 乳の出ない白い紅茸の仲間で、この道すがらの石仏群でも僕のとりわけ大好きな三体地蔵の辺の貧弱なシイ・カシ林の林縁に出ていた。しかし、豪快なテイカカズラやオオミズアオのきれいな個体、大粒の蛇苺の甘みの強いものをどっさり口にすることができたのはなによりだった。
線刻の弥勒磨崖仏 唐臼の二尊像
唐臼の正面像とその左脇の面に刻まれた地蔵像
笑い仏(通称)とその正面像
オオミズアオとその顔面の近影
この笑顔が大好きな三体地蔵、これを過ぎれば岩船寺は近い
ヒビワレシロハツ Russula alboareolata
香り高いテイカカヅラ 美しいバイカウツギ 岩船寺ではバイカウツギ(梅花空木)、都忘れの花に再会、僕としては満足な探訪会であった。そのあと、バスで近鉄奈良へ出て奈良町のきのこグッズの店を訪ね、春鹿酒造の期間限定5品の酒の試飲も楽しい思い出となった。
いつ訪ねてもしっくりと心和む岩船寺 池を隔てて建つ本堂と三重塔
山林修行者が法螺の修練に励んだという貝吹き岩とそこから見た南山城 岩船寺奥の貝吹き岩からは南山城の絶景が見渡せ、いよいよ僕の大和路で探り当てたことが頭の中で発酵しはじめた感すらした。
都忘れの花と画伯に教えてもらったクスサンの幼虫(俗称)白髪太郎 お酒も入って帰るさに、「走り去る電車の中から小さく投げキッス」した平城京址のワンショット。いよいよ煮詰まり始めた天平のきのこ群像に思いをめぐらしつつ、いつしか夢路を辿っていた。
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最終更新日
2013年06月14日 20時03分30秒
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