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夢みるきのこ

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2015年02月14日
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     冬ざれのくまちゃん (2)0008.jpg

  冬眠するつもりがいつしか春に。布引滝道の途中に出会った熊五郎くん

 今年はあらゆる意味で節目の年。戦後70年、震災後20年、僕にとっては、きのこ歴30年などなど。

 「去るものは日々に疎し」とはよく言ったもので、忘れることでかろうじて成り立っているのが日常というもの。しかし、これだけは風化させてはいけないとの思いが、人にはそれぞれあって、その執念、怨念の強さによって、行動パターンも変わってくる。

 元々退屈男のきのこ野郎の僕は、いつも春の海をのらりくらり遊泳するスナメリ(ネズミイルカの仲間)の如き人生を過ごしてきました。

 「類は類を呼ぶ」とは、これまたよく言ったもので、僕のまわりにはクリオネ(ハダカヒメガイ)ちゃんのような美しいのらりくらりもちらほら混じってはいますが、大半はクラゲやキノコ、それにネズミイルカ風のドテッとした輩ばかりが集まっており、それぞれ苦労が身につくこともなく何となく生きながらえてきたような人達ばかりのように感じています。

 しかし、こんな僕達でも安心して生きることのできた世の中というのはなんとしても残したいもの。それは、僕達の後に続く者たちへのせめてものはなむけでありましょう。

そのためには

1.アナログ生物の霊長たる人として、原発は生物本能の導くところにより即時廃止。

2.グローバリズムの長いものには喜んで巻かれながら、日和見主義を決め込んで、なんとしてもいちぬけて行く。

3.技術のみに終始する科学は、文学的に捉え科学の思想化を常に念頭に置いて行動する。

4.地球最後の征服されざるデジ・アナ兼備の野性生物・きのこの智慧に耳傾けて、新しい一神教であるデジタル神の支配をすり抜けて、アナログ生物のまま生き延びる隘路を見出だし、新たな多元世界を切り拓いていく。

と言った、少し地から浮いた(ちょっと背伸び)状態で万事を処していく必要があります。

 これからの僕達の静かな戦いは、2045年に世界制覇が完成するという超デジタル世界に対して、あらゆる局面で切ったら血が出る一回性の超アナログ世界の住人としての意志を突き付けて行くことにあると思っています。

 江戸中期における、蕪村の目指した山水の世界も、町絵師という日銭仕事に明け暮れする最底辺の庶民生活の中で桃源郷を志向したものであったから、昨今再び脚光を浴びはじめてきているのでしょう。

   ブルー丹後E望月0006.jpg

 月天心貧しき町を通りけり  蕪村

 蕪村の胸中のただならぬ思いは、この作品に表れていると僕は思っています。

 太陽の恩恵に浴しながら、時には月の光のしずくにも思いを馳せる。この常に複眼で物をみる習性を身に着け、斜に構えて物事に対処していきましょう。

 これからの10年、日本はこれまでの見事なまでの処世の術をかなぐり捨てて「あの素晴らしい夢をもう一度」とふたたび自身の国際感覚の決定的欠如をも顧みず、危険きわまりない波乗りを始めつつあります。

 そんな意味で本年は、まぎれもなく節目の年なのです。

 僕の退屈なきのこちゃんたちは、どうぞそんな流れに逆らわず、さりとて同調することなく、益々のらりくらりでちょっと背伸びの人生を貫いてくださいますように。






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最終更新日  2015年02月14日 17時37分23秒
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