夢みるきのこ

　加古川の鶴林寺で、お彼岸の3日だけご開帳になる植髪(うえはつ=今でいうところのアデランス)の太子像が観られるというので、ムックきのこクラブの日時を変更していってきました。JR加古川駅から鶴林寺までの間の平野部の寺社を、ランドマークの杜をつないで、方々に立ち寄り、その所々で酒肴を取り出していろいろ理由をつけながら乾杯を繰り返して、本当にたどり着けるかなと誰もが思い始めた頃、檀家総出でさまざまなイベントの繰り広げられている鶴林寺の裏門にたどり着きました。まずは、めでたしめでたし。

　本日の酒肴は、ブランデーはナポレオン。気仙の酒・酔仙。サイダー瓶に詰め替え持参したマッサンの亀鶴だったかな?ウイスキー。そして、フランスの白ワイン。山椒おかき、ひまわりの種子、黒豆の煎り豆、イチゴ味のチョコ。

中に入ってみて更に驚いたのは、この寺のこの上なく開放的な雰囲気。無礼講に近いおもてなしで、何をしてもおとがめなし。近年ではめずらしい仏教寺院。そのふところの大きさは、敬虔な檀家衆の信仰心の深さによるものでしょう。読経最中のお堂にお参りして、数人の人と言葉を交わしましたが、実に素直な心の持ち主であることが一目瞭然でした。僕なんか、本堂や常行堂のかって髑髏(しゃれこうべ)がぞろぞろ出てきたという堂下へもぐりこんで、誰も見たことのない時空の写真を撮らせていただきました。

　宝物館の植髪の太子像は、いわゆる鬼と化した童子で、これまた実に素晴らしいオーラが横溢しており、これは値打ちものでした。

加古川は近年、国産牛のカツ飯を町おこしに起用。キャラも本通りに、ほれこの通り。

　元祖カツ飯はこんな昔なつかしい洋食の面影が。　

　雑踏の寺苑の脇では、白鷺がわれ関せずで闊歩しておりました。

　駅からカツ飯やさんを探しながら、まず法然上人の孫弟子が開創したという龍泉寺にたどり着きましたが、ここでは墓地の更に奥の寺僧たちの墓所に特別に入れていただき、南北朝や室町時代の板碑や石仏、五輪塔などを見せていただきました。

　久方の光のどけき春の日のとりとめもない散策。さして目的もなくふらふらと歩き、腰をおろせば一杯ひっかける。雨の日は又雨の日の良さ。晴れた日には晴れた日の遊び方があり、この楽しみは、一度経験すると病みつきになります。またご一緒いたしましょうね。

　鶴林寺の如来像はじめさまざまな如来や地蔵、なまめかしい如意輪観音などを見ながら、だだっ広い播磨平野の中心地をほっつき歩き、近年稀な、実に爽やかな寺社巡りの1日を過ごすことができました。

　僕は仏像にも寺社にもさほど関心があるわけでもないのですが、とりあえず多少の目的意識をもって、気のおけない少数の友と馬鹿話に興じながら、のらりくらり歩くのが大好きです。