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カテゴリ:ムックきのこクラブ
ムックきのこクラブの6月の旅は、三上山麓の古代聖地ときのこめぐり。いつもの通り、集合までの時間を利用して、三上山麓の御上神社へ参詣。この地の精霊にひとまずご挨拶。この神社は来てみてはじめて分かりましたが、とても荘厳な雰囲気を湛えていて本殿は国宝、拝殿その他の社殿はすべて重文で驚きでした。アマガエルくんたちが参道の植え込みのいたるところで雨乞いをしているのに出会い「おいらのことも祈っていてね」と声をかけてとんぼ返りで野洲駅へ。
御上神社国宝の本殿
野洲駅東南の中山道(右)と朝鮮街道(左)の合流地点。朝鮮街道とは、江戸時代、朝鮮通信使たちが隊伍を組み江戸城へ将軍と拝謁するため通った道。
三上山の北隣の妙法寺山の不動寺に詣で、この山が修験の磐座続きの山であったことを確認。妙法寺山頂上(270m)へ続く尾根筋より眺めた三上山の雄姿。
妙法寺山を下り、小篠原集落奥の福林寺跡への道中に出会ったベニシジミ Lycaena phlaeas 。幼虫はスイバやギシギシを食草とすると聞いていましたが、アザミに翅を休めていました。
森のラブメッセージを綴る恋文の主の姿は、ヒメクロオトシブミ Apoderus erythrogaster でした。コナラ、ノイバラ、キイチゴ、ツツジなどなんでも愛のしるしを包み込むように葉を巻く習性があり、少しでも異変を感じるとするりと落下したり飛び去ったりで、なかなか正体をつかめません。
この御仁の恋文はこちらです。
いよいよ暑い夏の盛りを迎えると、植物と水分やミネラルを交換しあって共生するコツブタケ Pisolithus tinctorius の出番です。こちらはおまんじゅう形のコツブタケを1/2にカットして断面をお見せしたもの。手作りの浄水器さながらに小石がぎっしりつまったような構造になっています。
本日の旅の最初に出会った小型のチチタケ。Lactarius sp.
さて、このキノコは発達したツバのありようからサケツバタケと思いましたが、それにしては小さい。さんざん悩んだあげく、傘のテキスチャーが僕がこれまで抱いてきたイメージからはいささか遠いものですが、きのこの全体と部分を交互に抑えて行くと、やがてカバイロタケ Naematoloma squamosus var. thraustum に落ち着きました。ごく普通に出会うきのこでもこれだけ分かりにくいのがきのこなのです。 きのこを愛するということは並大抵の根性ではつとまりませんね。
パッと見にはイタチタケと思いましたが、これもなかなか判断のむずかしいきのこで、モリノカレバタケの仲間のアカアザタケ Collybia maculata のようです。 判断材料は、全体が白色でヒダが密、よくみると傘の縁部が褐変をはじめていることから。目視によるきのこの同定はこのようにかすかな徴候から慎重に判断を下さねばならず、これがきのこにはまってしまう最大の陥穽なのです。きのこ博士になろうとする意欲的なきのこファンで負けず嫌いの性格の人はとりわけ、この判断に明快さを欠く自分自身に我慢がならず、ついついきのこの同定に夢中になってしまいます。多くの優秀な人材がきのこの彼方の世界へ一歩たりとも踏み出せない最大の原因です。 このきのこには、デオキノコムシの仲間が入れ替わり立ち代わり蝟集しており、せわしいことかぎりありません。
カレバキツネタケ Laccaria vinaceoavellanea もところどころに顔をのぞかせていました。
磨崖仏では秀逸の妙法寺磨崖仏が妙法寺山中に、この少し手前には岩神さまと名づけられた古墳跡を祠に活用したものもみられます。
僕がもっとも期待していたのは、作者・制作年代ともに不詳の十三石仏で、こちらは 福林寺跡地に見受けられます。案に違わず、素晴らしい造形物で感激。 本日の旅は、この福林寺跡で終わりですが、おまけに「銅鐸博物館へいかが?」と言うと、汗まみれでさんざん歩いてくたくたのはずのメンバーは全員、二つ返事で「行きます」と返してきました。しかし、この目と鼻の先まで行かないとそれと分からない地味な博物館、無理をして訪ねるに充分値いするものでした。僕は襲い来る睡魔と闘いながらメンバーの後を追っかけながらの館内巡り。ここのさまざまな銅鐸の展示から得た僕のキーワードは<諏訪>でした。 展示室は、銅鐸の歴史のみならず、野洲の伝統工芸品の紹介や体験工房もあり、館外には弥生の森公園があり、古代ハスの大賀ハスが咲いていてのんびりできる贅沢な空間がひろがっていました。早朝の野洲駅からこの博物館までの一日たっぷりかけた道中、日曜日というのにすれちがった人は唯の一人だけだったことに一同おおよろこび。
銅鐸博物館のエントランス
園内に栽培されている古代ハス この銅鐸博物館に立ち寄ったお蔭で、野洲駅前のデリシャスこの上ない料理を出してくれる居酒屋・酔人(すいじん)での話が盛り上がり、この日のメンバーの二人の女性が、それぞれ密かに諏訪に熱いまなざしを注いでいることが判明。実は、僕もこの春からは、大阪をぶらついていて金刺宮(金刺氏とは、諏訪大社・下社の大祝<おおほふり>科野国造<しなののくにつみやつこ>の末裔)に行き当たる夢をみたり、つい最近『縄文聖地巡礼』を読んで、密かに諏訪への思いを募らせていたこともあって驚き、かつこのシンクロにしみじみうれしいものを感じました。銅鐸博物館へ行ったことが機縁となってキノコ・菌類と縄文文化とのシンクロを問わずがたりに語り始めたメンバーに愛しさを募らせながら、今年はムックきのこクラブで諏訪湖周辺へ、ベニテングタケとの再会も兼ねて行こうかなどと大いに盛り上がりました。 ムックきのこクラブも素晴らしい会に成長を遂げつつあるようですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年06月16日 08時31分41秒
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