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カテゴリ:きのこの文化誌・博物誌
<reading> Jakumaku to hiruma o sushi no narekagen
スーパーきのこ時代を具体的にイメージできる雑誌は、目下のところこの季刊『WIRED』をおいてありません。情報哲学の俊才ドミニク・チェンの「醸され紀行」は、とりわけ僕達のきのこ漬けの脳にとって必須の栄養素だと思います。 たとえばそのタイトル<発酵食はクリエイティヴ・コモンズである!!>や、リードの「無数億の微生物(=ユーザー)が、多様な栄養源をもつ糠(ぬか=デジタル情報の総体)のなかで蠢き、そこに漬けられた食物(=デジタルな作品、情報)を発酵(=リミックス、ブラッシュアップ)させ、おいしい発酵食(=新しい作品、情報)を生み出す・・・・。そんなヴィジョンを抱いた情報哲学の俊才ドミニク・チェンが、「生命的なITとは何か」を求めて日本の発酵文化を訪ね歩く」<WIRED Vol.17>より を見て、ゾクッとこないきのこファンはすでにどうしようもありません。 「きのこの彼方には何があるのか」20世紀の最後の8年間、そして21世紀の14年間に僕達が『Mush』にはじまり、『Hetero』誌を経て、MOOK『きのこ』で跡付けてきたものが、より具体的な形でここには余すところなく紹介されています。 21世紀は、グローバル規模のサバイバル・ゲームがあらゆる個を呑み込みながら、すでに熾烈に展開されてきている。その流れに乗りながら、どうイチ抜けて行くかという方途こそが、デジタル資本主義の中に否応なくどっぷりと取り込まれてしまっている超アナログ人間としての僕達の最後の仕事でしょう。 その具体的なヒントがここにはすべてあります。 即時廃原発、基地問題も、本当はバベルの塔を総崩れにさせるほどのアナログ言語で裏打ちされなければ、パワーとマネー・オンリーの政治世界では常に敗北を喫します。 それはアート(hetero-imaginationとでもいうべきArt)でしか成し得ない何かだと思ってきました。その軌道修正のシンボルこそがwild mushroomすなわちFungusなのです。 そうした想像力の余地を周到に根絶やしにされてきた目下の日本は、ちょうど総崩れの時期にさしかかっていると思って間違いありません。 そのための危険きわまりなく、しかし救済の方途も見え隠れする必読書としてここで改めてチェックしておきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年07月28日 21時30分27秒
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