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夢みるきのこ

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2015年08月15日
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 ここ数年来、異常気象が常態化してきた日本列島。きのこたちもどっと出て、さっと身を引いてしまい、忙しいこときわまりない。そんな中で、会員のSさんが乾燥著しい甲山で「ここをせんどと顔をのぞかせた」きのこたちの交遊録を送ってくれました。その中で、かってはよく見かけたが近年とんと姿をくらましてしまったイグチちゃんがあったので、コメントを付してお礼に替えましょう。

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 ウラグロニガイグチ Tylopilus eximius

 傘の色は幅があり、こげ茶から赤褐色。湿時粘性を帯びる。中型から大型のきのこ。その特徴は、柄にヤマイグチ同様の黒い粒点様の縦じまがあり、メタボリックなヤマイグチとの印象が強い。管孔が黒いことからウラグロの名がある。ニガイグチの和名は、料理がだめになるくらい苦いことからつけられたものだが、このウラグロくんは、キノコの中でもずばぬけておいしい。美食にほとんど関心のない僕が、キンチャヤマイグチとあらそうほどうまいと思ったくらいだから保証する。ただちょっとこのキノコ食べるのに勇気がいるかも。変色性がないことは食べる人には重要な目安となりそうだ。かってやや変色するこのウラグロちゃんを食べて中毒したひとがいましたので。

  羽束山 (91)0273.jpg

 ハイカグラテングタケ Amanita sinensis

 ウラグロくんがとんとみかけなくなったのに対して、30年前には六甲山系でほとんどみかけることのなかったこのおどろおどろしいアマニタやヘビキノコモドキ、コナカブリテングタケちゃんたちがしきりに手招きしてくれるようになった。これも地球規模の天候の変化によるものだろう。やや老たけてくると傘のヘリの条線が明瞭につき、膜質のツバは剥落して跡も残らないのでツルタケかと思う人もいるかも。そんな特徴の曖昧模糊としたテングタケが実に多くなった。学名は アマニタ シネンシスとされているが、将来的には変更の可能性もありそうだ。シネンシスは死ぬとか死ねんとかの意味とはまったく関係はなく支那(China)のこと。シナのテングタケ属という意味だ。

      羽束山 (140)0185.jpg

 今回、甲山では六甲山系のニガイグチたちが一斉にご挨拶した感すらあり、うれしいかぎりだ。この上下の写真のきのこは 

 チャニガイグチ Tylopilus ferrugineus

      羽束山 (139)0183.jpg

          羽束山 (86)0267.jpg

 ニガイグチの特徴は、傘の裏の管孔の色にあります。若いうちといってもキノコが発生して1日目は白く、2日3日と経つ内に段々とワイン色(写真上)に変化すること。

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 この人のきのこを見つめる瞳は年々慈しみに満ちてきて、この写真などとても良いですね。写真をみれば、きのこ目の澄み具合がただちに了解できます。

 キアミアシイグチ Boletus ornatipes  (写真上)

 粘性はなく、青変性もあれませんが、触れたり傷をつけると黄変性とでもいうのでしょうか、黄色味が増します。これはBoletusグループのきのこでTylopilus(ニガイグチ)の仲間ではありませんが、とても苦いきのこです。

  羽束山 (78)0258.jpg

 こちらはマツまじりの広葉林に出る、Green Cap。柄に網目模様がなく、根元に近い部分が赤みを帯びています。これでただちに以下と分かります。

 ミドリニガイグチ Tylopilus virens です。 

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  パッと見には柄が長いのでアシナガイグチかなと思うでしょうが、柄が傘と同色の茶色の平滑な感じではなく、管孔がキイロでスポンジ状であることからアワタケ Xerocomus のグループだと絞り込めます。柄に傷があり黒変していますので、クロアザアワタケ X. nigromaculatus のようです。

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 これ(写真上)が一瞥でコウジタケ Boletus fraternus  のやや年増であるとわかれば中級の実力があります。青変性、傘はビロード状のテクスチャーで細かくひび割れていること。角形の管孔。柄の赤い縦線。若いきのこには甘い香りをともない、それが麹のようだということから名前がつけられました。

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 これがだれしもお手上げになるベニタケですね。ヒダの感じから茨城あたりでそう呼ばれているカシダンゴタケに近いようですが、目視では限界があります。

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 このベニタケ(写真上下)を同定するには、暗黙知の了解が必要です。全体の印象から、微細な点にこだわらずエイヤーとお答えしますとヒビワレシロハツ Russula alboareolata に帰着します。さまざまな図鑑の写真とは似ても似つかぬ様子から、どうそこへ行きつくのかは経験に基づきます。僕をそう言わせたのは、傘のヘリのモロモロ感です。

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   羽束山 (57)0235.jpg

  これは裏返っていますか、一目瞭然、イボタケ Thelephora グループであることはわかります。多くの図鑑の写真はモミジタケとキブリイボタケが混同されて載っていますが、僕にはこれはキブリイボタケ Thelephora multipartita と思われます。

そのほか、届けられたキノコ20数種については、すでにご本人が同定できるものばかりだと思います。酷暑の夏のデートの写真ありがとう。






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最終更新日  2015年08月18日 09時33分16秒
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