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夢みるきのこ

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2015年10月01日
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カテゴリ:川西きのこクラブ

    川西きのこ9月歌垣山 (122)0023.jpg

 シロハツ Russula delica

 ベニタケグループの白色種。柄に近い部分が淡青色を帯びるのが特徴。右のやや密という図鑑の状態はこのくらいのものをいいます。ヒダが全体青くみえるものをアイバシロハツ R.chloroides として区別しますが、いずれも食べても死にません。これより大きくてヒダが密なものはシロハツモドキ R. japonica で人によって中毒します。

 僕達(男女2名ずつ)と東京(男女2名ずつ)で、たまたまこのきのこを同日同時間に食したのですが、僕達の女子と東京の女子だけが30分もしないうちに中毒しました。下痢・嘔吐が一晩続いたそうです。この白色のベニタケは、普通に散歩していても数種は極く普通にみつかりますので、ちゃんとお勉強しなければいっちゃいまっせ。

    川西きのこ9月歌垣山 (119)0019.jpg

 マツ林のきのこの代表格。ウラがスポンジ状(下の写真)のイグチさんです。

 柄にツバの痕跡があればヌメリイグチ Suillus luteus。なければチチアワタケ S. granulatus

 ヌメリイグチはご覧の通りの傘の状態から。チチアワタケの名は、幼時、管孔から黄白色の泡を分泌することから。こちらは傘の皮に腹をゆるくする位の毒があるので、カワハギのようにくるりと剥いて調理すしましょう。

 どっさり食べる際は、いずれのきのこもスポンジが消化不良の原因になるので、取り除いて調理するのが安全でしょうね。でもせっかくしとめたきのこの大半の部分を捨てられるかな?。

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 これが管孔と呼ばれるスポンジ状の造胞子部。こんな状態のきのこは普通は食べません。新鮮でないきのこを食べると食用きのこでもいっちゃいまっせ。どうぞくれぐれも分別ある大人。しっかりしてくださいよ。

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 カバイロツルタケ Amanita vaginata var. fulva

 テングタケの仲間はすらっとしたボディコンスタイルのダンディスト。ツボ、ツバを持ち、長い脚をもつので一目で分かりますが、その天狗さんの仲間でツバをもたないろくろ首、いや鶴の首状態のものをツルタケとグループわけしています。こちらの学名は、ツルタケのタイプ種はグレーの傘をもつのでそのヴァリアントの黄褐色のツルタケというほどの意味です。Vaginataはヴァージンではなく鞘状のということでっせ。お間違えなきよう。根元のツボもカバイロをしています。お見せできないのがとても残念。上の写真は出始めの子供。一晩でするする伸びてパラソルを開きます。

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 このカバイロツルタケは食用ですが、毒きのこも含めて濃い味の美味しい天狗さんの仲間には珍しく、さほどおいしくありません。

 テングタケ Amanita グループを他のきのこと一緒に食べてしまった時は、そのきのこの傘の縁に条線があったかどうかを確認しておきましょう。

 写真下のヒメコナカブリテングタケ A. farinosa は僕は食べたことがありませんが、このきのこのように傘の縁に顕著な条線をもつテングくんには致命的な毒をもたないと経験的に受け止めてきました。もし自覚的にそうしたことを試されたら方がいたら、ぜひお便りください。すでにお亡くなりになっていれば致し方ありませんが。

しかし、それが顕著なカバイロツルタケ、タマゴタケなども上の写真のように幼菌は条線はまだ不鮮明でしょう。しわが気になる年齢にならなくてはきのこといえどシワができないのです。一々納得していてはだめですよ。ご自分の目と頭と身体できのこと向き合いなさいね。

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 オシロイシメジ Lyophyllum connatum

  今年はどこへ行ってもこのきのこが熱烈歓迎。以前はごく普通に食用に供していましたが、これも毒にされてしまいました。

 めっちゃやたらと食べる人が増えると近々、すべて毒きのこになってしまいますよね。きのこはなかなかのしたたかもの、人を見ますからね。

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  ムラサキアブラシメジモドキ Cortinarius salor

 晩秋の松林を飾るおいしいきのこの代表格。こちらも根っ子がふとらないフウセンタケ。幼時ぬめりをもつのでアブラシメジモドキの名がそえられています。

 この美しいヒダの紫が老斑に変化するまでに採ってあげましょう。味噌汁の具にするのが最高の贅沢。

 したがって、クリフウセンタケの紫ヴァージョンと考えるとよろしい。美しいきのこですからじっくりと賞味味わってからしてくださいまし。

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 カキシメジ  Tricholoma ustale

  こちらも松林に特有のおいしそうなきのこ。温和な色がそう誘っています。

きのこ好きのみなみらんぼうさんが喰ってその中毒体験記を書いていますが、それでも喰いたいきのこだそうです。

地方では常食しているところもあり、訳の分からんところがあるきのこです。

触っているとだんだん茶色に変色するのが決め手。

 食べても死ぬほどの毒はありませんのでどうぞ召しあがってください。僕はどんなきのこはあまり食べません。

 どんなきのこも珍奇だからこその味わいのみで、さほどおいしいとおもったことはありませんし、こんな不思議で面白い生き物をあっさりと食べてしまってはただそれだけのおつき合いで終わってしまいます。それでは余りにもったいないからです。

でも、眩暈を感じるほど美しく、おいしいきのこは極く少数ですが、たしかにあります。でもそれは老いらくのたのしみで、ひ・み・つ。だってきのこは食品ではなく、嗜好品ですから。この認識さえしっかりと持てばきのこが100倍楽しめ末世(まっせ)。

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 キシメジ Tricholoma flavovirens

  このきのこがちらほら見え始めると秋の深まりを感じます。金茸と愛されるシモコシと姿かたちはそっくりですが、広葉林に出るのがキシメジ。海岸の松林(針葉林)に出るのがシモコシ T. aestuans と覚えましょう。どちらも食用ですが、きのこを食べる人は苦味を好みます。おいしいとされるきのこはほとんどが幾分苦味をもっています。このきのこももちろん苦いので美味しいといわれてきました

 きのこは食べものである前に生き物。これはすべての食べ物にいえますが、それをそれとなく示唆してきたのがきのこなのです。

 僕達は食べるという基本的な行為ですら、他者のいのちを奪ってしか生きられないのです。これを原罪といえばいえます。

 が、きのこの毒は、そんな共食してお互いがいのちをつなぎ合うということの真意を忘れて他者のいのちを無反省に貪り続ける人たちにのみ毒として作用するのですから皮肉ですね。虫たちは平然と食べていのちを分け合っていますのにね。






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最終更新日  2015年10月01日 18時41分53秒
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