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カテゴリ:きのこの文化誌・博物誌
和暦の正月3日、奥村彪生さんから、思いがけないおいしい贈り物が送られてきました。氏からの贈り物はいつも心騒ぐもので開封すると、食事時まで待ち切れず、いつもつまみ食いしてしまいます。 さっそく一切れ、口に含みましたが、芳醇な香りがまず口いっぱいにひろがり、やがてうま味が舌に染み渡っていきます。 このうしおの如きうまみの時間差こそが発酵食の醍醐味。 この幸せを独り占めするのは余りにもったいないので、添えられた私信から差しさわりのないレシピの部分をここに載せたいと思います。
生の鰊を買って3%の砂糖で1時間締め、更に3%の荒塩で1時間締め、生酢に30分浸し、水分を除去して、酒糟を3年間熟成させて醸造した赤酢を更に7年寝かせた古酢で洗い、6日間熟成させました。明日で1週間(本日のこと)。一番うまいころです。6つにして食べてください。骨切りはすでに済ませ、酢漬で常備している白板昆布を乗せています。これをはずし、細切りにして横に添えて酒の友にして欲しいです。 赤酢はミツカンから戴いた山吹で、それを10年寝かせて置いたらアミノ酸と香りが芳醇になりました。ミツカンもこのことは知らず、本社を訪ねた時に研究所長にその旨告げますと、今あるもので分析してみますと申し出があり、先日報告にやって来ました。 (その折、あやおさんはすごい進言をされていますが、これは企業秘密に属するものゆえ割愛します) 今東京の「匠」という寿司屋では熟成させたタネで握りずしを握っており、人気です。この出肴もすべて熟成タネを用い、鮮魚は用いていません。 京都の料理人達に昔の鱠(なます)の復活を叫んでいますが、その技術は若手にはありません。私が伝道者です。またその旨さを評価する食べ手がいなくなってしまっているのです。日本人はあまりにも新しい物を求めすぎです。 やっぱりデジタルとアナログ、ニューモードとオールドファッションをフュージョンせなあかん世の中になりました。
私が指導している東北のスーパーの今年の恵方巻、はじめて7年目で最高の3億4千7百万円の売り上げでした。私もテレビで「福もらいましょ」とコマーシャルに出ました。その効果でしょうか?!。 2月9日(睦月2日) あやお そもそも、発酵食文化は保存食として発展してきたもので、現在の食品のような賞味期限という概念を払拭するものでした。「食べ頃はあっても賞味期限はない」というのが私たちの文化だったのです。ところが、賞味期限切れで食品が大量廃棄されることが日常茶飯になっているのは世界の大半が飢えている現在、異常というべき現象です。 しかし、あやおさんがコマーシャルに出て、それでも売り上げが記録更新したというのはにわかには信じがたいことですが、よほど巻きずし自体が見栄えがするものでおいしかったのでしょう。 冗談はさておき、食べ物を大切にしてきた古人の智慧というものを根底から見直すためにもあやおさんにはぜひ食文化における世直しの一翼を担ってほしいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年02月10日 16時40分29秒
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