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カテゴリ:きのこの文化誌・博物誌
人間の智慧の最良のものは発酵であり、この世界にきのこの胞子同様偏在しているというのが、僕のきのこ人生の究極の思いです。 フランスの紙巻たばこでも、いわゆる黒煙草といわれるものは、乾燥させたたばこ葉をさらに堆積発酵させたもので、決してかぐわしいというのではない独特の香りを放ち偏愛者が後を絶ちません。 僕が20代、指先が黄色くなるくらいたばこを喫していたころ、このゴロワーズはとりわけ思い出深いたばこでした。 たしか映画『ヘッドライト』のジャン・ギャバンが吸っていたのが両切りのゴロワーズだったと記憶していますし、小説『褐色のジプシー』でも主人公が愛飲していたのが、このゴロワーズでした。この独特の臭みはフランス下層社会の人たちの反骨精神の現れだったのかも。 ゴロワースは、ゴール人の女という意味で、たばこに描かれた甲冑はゴール、あるいはゲール、はたまたガリアとか発音された、ジュリアス・シーザーの『ガリア戦記』に出てくるケルトの戦士の甲冑だと聞いています。 一方のジタンとはスペインのジプシーのことです。 ケルトはヨーロッパ文化の古層を代表する先住民で、日本の縄文人に相当し、ハイテクを駆使した後発の勢力によって駆逐されていき、根絶やしにされますが、しぶとく生き残り、旧大陸全域にこの痕跡をとどめてきました。 ジプシーも非定住民。日本のサンカや木地師、漂泊の舞楽集団や白拍子と同様、さすらいの民。 この命名にも気にいって当時 ~♪ 糞して一服 ~♪ なんて宇崎竜童が歌っていたスモーキン・ブギさながらにスパスパ吸っていました。 両切りは入手できませんでしたが、このゴロワーズとジタンもまた発酵で再会することになりました。めでたし、めでたし。おしまい!!。 今度、ムックきのこの人たちにお茶会の折に持参して試飲してもらおうと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年02月11日 22時40分14秒
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