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カテゴリ:きのこの文化誌・博物誌
シベリアの凍土に眠るマンモスが、悠久の時を経て掘り起こされる。 おそらく夏場は湿原となり地表部分が溶けて一部露出しているものを猛烈な蚊の大群と闘いながら掘削するものだろう。その骨の考古学的資料としての価値が見いだせない断片が、こうしてアーティストの手により、彫刻がほどこされ細工物として流布される。 本品は1995年、ペレストロイカで疲弊の極にあった厳冬期のロシア・モスクワ郊外のイズマイロフ公園奥のバザール(パリののみの市のロシア版)で見つけて購入したものだ。 ポルチーニ(和名・ヤマドリタケ、ロシアではべーリィ・グリップ。優秀な食用きのこで白っぽいので白キノコと呼ばれ愛されている)の傘の部分には琥珀の珠のしずくをつけていて、僕は勝手にそれを月のしずくに見立てて悦に入っている。 月の光の発酵作用にこれからの世界の希望を託そうとするものにとって、この小さな細工物は、僕にとってはちょっとした慰みものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年03月02日 23時54分06秒
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