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夢みるきのこ

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2016年05月04日
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    枚岡アミガサ (39)0081.jpg 

 アミガサタケ (Morchella グループ)は、春告げきのこの代表格。近年までこのつくしの親分のような変な奴は、きのこ採りの名人でもこれをきのことは思っていませんでした。

 欧米では春の到来とともに顔をのぞかせるアミガサタケに、我が国のマツタケ以上にフィーバーしたものです。このきのこには黒色系、白色系、黄色系があり、形よりもこの色合いの違いで同程するほうをおすすめします。シャグマアミガサタケならずとも、このグループのきのこは揮発性の毒をもつものが多く、このきのこを食べる習慣がなかった東洋の人は、味は多少落ちても、湯通ししたり、しっかりと天日乾燥をしてから食すことが大切です。

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 こちらはキチャハツ Russula sororia 

 クサハツ R.foetens の親戚です。クサハツのグループより早く春先から顔を出す温和な傘の色と傘のヘリにクサハツ特有の溝線(こうせん)と粒点(りゅうてん)が特徴のきのこです。赤くはなくとも紅茸と総称されるこのきのこたちは、全体に丸みを帯びた形姿、おしろいを塗った妓女のうなじを思わせる白い柄は一瞥してベニタケと分かるものです。すれ違いざま、相手が何者か見極める技は、この世で生きていく上でもっとも大切なもの。まずは種名はわからずともこの女性的なベニタケくらいはそれとわかるくらいの能力を磨きましょう。

 分子・量子生物学が主流になればなるほど、この自分の目で確認する<きのこ目>を涵養することは大切になってきます。それをこれから僕の親しい人たちの間で実践していくことになります。そうなのです。いよいよムックきのこクラブは、2001年よりはじまったスーパーきのこ時代をいつまで経っても自分の古巣にしがみつくばかりの人たちを待つことはやめにしてひとり旅をはじめます。個人としてできることを個々人の責任においてやっていく。それがきのこ暦第4期8年のぼくたちムックきのこクラブの唯一の課題です。

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 ツチグリ Astraeus hygrometricus

 地の星、かつ湿度計というラテン名を持つ面白いきのこちゃんです。その理由は、形と胞子を飛ばすメカニズムにあります。春になって大地が十分に熱を蓄えはじめると地表に出てきて固い殻を星形に開いてアッカンベーをする茶目っ気たっぷりくん。

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 スジオチバタケ Marasmius purpureostriatus

  雨後いち早く登場し、1~2日経てば姿を消してしまうホウライタケ(Marasmius)グルーブのきのこちゃん。多くが紙細工のようなテキスチャーですので、押し花にならった押しきのこに適しています。ベニやオレンジ色の傘を持つハナオチバタケ、ハリガネオチバタケも兄弟分のきのこで、これらのきのこに特徴的なことはひだが疎であることからホウライタケグループに入れられてきました。

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 ギンリョウソウは、きのこではありませんが、葉緑素を持たず、菌類と栄養を分かち合って生活する植物です。春爛漫の頃から林縁に姿を現します。 

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  ハルシメジ Entoloms sp.

  これまでハルシメジとされてきたこの仲間。タイプ種のEntoloma(=Rhodophyllus) clypeatumと我が国のハルシメジは同一物でないことが近年わかってきました。それはグアヤク脂での呈色反応が青変することによっています。E. clypeatumは青変しないからです。

  こんなことはつい最近までの分類世界では日常茶飯事でした。さて、そんな悩みも新しい系統分類では解決されるのでしょうか。少なくともラボ内では解決されますが私たち趣味でかかわるきのこファンには無縁の世界であること。これは頭の隅にしっかりと置いておく必要があります。

  僕はいずれ微生物学としてのきのこは、アマチュアを素通りしていくことを30年前に予測、そんな来るべきスーパーきのこ時代のアマチュアの役割を念頭にJ-FAS日本キノコ協会をスタートさせました。きのこを通して地球上で行われているすべてのことに個人としてとりうる負荷の少ない生活態度を見極めていく。それがこれから8年の課題です。   

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 ハルシメジは4月が盛期です。会員の諸般の事情から、バラ科の植物の樹下に発生するハルシメジを見に行く機会をずらさずを得なくなりましたので、名残りのハルシメジツァーを5月のメイデーの日に実施いたしました。

 しかし、群生・束生が常のハルシメジですが、単独で数個体、私たちを迎えてくれました。ハルシメジさんに感謝あるのみ。

  そればかりか、ハルシメジとデートすると必ずついて出てくるきのこちゃんがいる。うっすら紫色を帯びたウメウスフジフウセンタケ Cortinarius prunicola だ。今年は、名残りとはいえ、群れを成して顔をのぞかせて挨拶してくれた。

 フウセンタケ特有の目安は、老成したきのこではヒダが鉄さび色を呈すること。傘の開きかけのきのこでは、傘と柄の間にくもの巣状の菌糸を張ること(写真下)。これは胞子が成熟するまでの間、保護する膜の働きをする内被膜(ツバ)に相当するものです。 

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 かくして、今年も春を告げるきのこたちとはすべて挨拶をすませることができた。当たり前のことが当たり前のように過ぎていくこと。これこそが庶民の生きていてよかったと感じる瞬間だ。この気持ちを来年もまた享受するためにこそ活躍すべきですね。






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最終更新日  2016年05月04日 12時39分28秒
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