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2017年01月25日
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 ムックきのこクラブは第3期の5年間、大いなる道草をしてきました。
それは、わが国の心の文化を大成させてきた職能集団の秦氏の見えざる糸を手繰り寄せる旅でした。
 この道草は第4期も続きますが、『月のしずく』の小冊子は、そんな道草の旅を続けてきた私たち自身でさえ定かには像を結びえない歴史の隠されたサインを見届ける旅を、記憶の彼方に埋もれさせる前に形にとどめておこうと意図したもの。
 もちろん、わが国古代より「見えざる神の手」とされてきた発酵が、実は微生物の働きによるものであったこと。そしてそれは扱い方を間違えば恐ろしいものを将来するもろ刃の剣に等しいことにも、スポットライトを当てていきます。それは見えざる人の手が秦氏とそれに連なる夥しい下層民たちによるものであったことと符合します。

  
 比叡山を下りた法然が与えられた新黒谷の金戒光明寺はきのこ暦第4期の出発点としてふさわしいトポスでした。
 愛宕山、広隆寺、大原、石清水八幡宮、粟生の西山光明寺、きのこ暦第3期のはじまりは法隆寺で、そこを手はじめに南都(奈良)の社寺、近江の社寺、方々の修験の山や磐座めぐりなどなど、すべて平安末から鎌倉、そして江戸期にまで続く別所と呼ばれた聖・毛坊主たちのネットワーク拠点を辿る道草の旅だったのです。
そこには古代から秦氏の少なからぬ寄与貢献があることを感じとってきたからです。
  

 私たちの道草の旅には、山川草木悉皆仏の精神が貫かれており、その土地とちのきのこを初めとする生きものと出会う旅が彩りを添えてくれます。そして時代時代を通じて最下層民らの善意の歴史が、伽藍や大社から廃寺・小祠、おびただしい野仏が、問わずがたりにささやきかけてきます。 
  
  五劫思惟阿弥陀仏は、浄土教にはない法華経の精神につらなる久遠仏のアイコンで、それが新黒谷の光明寺にあることも、法然の発心のはじめの比叡山天台浄土教の影響が垣間見られ、とても興味ぶかいものがありました。
  
  これらの問いには、いずれきのこたちが答えてくれるでしょう。 
  
  今年4月からはじまるきのこ暦第4期8年は、『月のしずく』に依りながら、そんな語り部・きのこたちの声に耳傾け道草の集大成を図りながら、新しい地平へと道筋をつける作業です。きのこでつながる生きとし生けるものはどうぞ、この大いなる道草の意味をそれぞれが咀嚼して行き倒れになる瞬間まで歩き続けましょう。
  
 京都の町はどこを掘ってもおびただしい地蔵石像が出て来て、工事のさまたげになると言います。しかし、平安京1200年の繁栄は、そうした無名の人達の活動がもたらしたものです。
 小雨に煙る新黒谷の光明寺奥の院に当たる三重塔への階段を登りながらそんなことを思い巡らせていました。





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最終更新日  2017年01月25日 10時54分03秒
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