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夢みるきのこ

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2017年11月14日
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 葛城の地は葛城氏にはじまり、尾張氏、蘇我氏、秦氏などの諸豪族が三輪王朝と拮抗する勢力を温存してきた地で、我が国の古代史には欠かすことのできないトポスである。葛城山頂のススキ原と月夜茸を堪能する旅は度々続けてきたので、今回は山麓のさまざまな社寺をめぐる旅とした。

 皮切りは高鴨社。役小角を輩出し、平安京の上下賀茂社の本家筋の鴨氏の産土神である。本殿改修工事に入っているので神社の神事は池の手前に張り出した遥拝地より。折から七五三のお参り風景に接することができた。


 美しいもみぢで飾られた社地と、これからが旬を迎えるムラサキアブラシメジが神域の杉林から出ていた。



 山麓の道は初冬の風景一色に染まっていてすがすがしいことこの上ない。枇杷の花が葉末にひっそりと花をつけていた。

 霜の声を聴くころになると俄然透明な赤が目立ち始めるヒヨドリジョウゴ(写真上)。多食はだめだが、口に含むとトマトの味がすると同行者の一人がいうと誰かが「ナス科だもんな」と応じていたことを思い出します。カラスウリの赤い実も方々でみかけられたが写真は控えました。

 ザクロの実も、手の届く高さというより腰の高さに身をつけていて驚き。

 農家の小さなため池にみとめたハスの実。

 真弓の実も。野面はいたるところ、紅色の実で飾られていたのがとても印象的でした。

 さて今日のきのこと発酵食品の楽しみは、アカモミタケの塩漬け。コウタケのクリームチーズディップのカナッペ。加えて手作り味噌でじっくり漬け込んだ豆腐(まさにウォッシュタイプのチーズそのもの)を肴に、京都市内に唯一残る伏見の酒・佐々木酒造の「古都」。画伯のご子息が愛知で共同作業をして得た梅の実で漬けたという梅酒で限定ナンバー入りのすぐれもの。そして月の桂の濁り酒「合」。さらに橘くんの愛飲する紫蘇フレーバーのすてきな焼酎。休憩の度にちびちび宴がもたれるので、目的地は設定しない風まかせ、気まかせ、足まかせの旅である。それでも所定の目的はちゃっかりクリアするので本当に不思議というほかない。
 しかし、この野面でのサロンこそがムックきのこクラブの真骨頂。お酒が好きでない(!?)僕も、飲みすぎて人生を誤った御仁も、全然お酒の味を知らない生娘さんも、その短くも長い人生のおりふしと出会いの数々を壮大な風景の中で語り合う。これにまさる野遊びはない。今回参加のみなさまには、マイカップとして、ロシアのホフロマ塗り(ロシアの漆塗り)杯を進呈。これからのムックの旅には持参するように頼んだ。

 この旅のピークとなる高天彦神社。境内にはナラタケ、ホコリタケの老菌。ハチノスタケの成菌。

こうした磐座もさりげなく残っていました。



ナラタケの老菌。

ホコリタケの老菌。

ハチノスタケの成菌。

 カタツムリは蝸牛博士の大原居士へのおみやげ。

 リンゴの花もちらほら。さすが高原だと感心。
 
 ウラギンかと思いきや高原性のタテハチョウの仲間でした。
 ムックきのこクラブは昨年、5組もご成婚。できちゃった婚で子育て真っ最中や、出産まもなくの会員が急増したばかりではなく、まだ未婚の女性陣たちもムックが昂じて本格登山を目指したり、モダンダンスに打ち込んだりで参加者が激減しています。しかし、僕が朽ち果てないかぎり、数年後には子連れ山姥たちが必ずもどってきますという固い約束を信じて、しっかりとこの野遊びの法灯は絶やすことなく続けなければと思っているところです。
 今回は、あろうことか、今年の正月の金戒光明寺以来、音沙汰がなかった
陶芸家の豊田さんご夫婦が、明日から入院施療しまんねんと言いがてら参加してくれたので、途中の極楽寺で記念写真。結局この旅では国道の舗装路を歩くことを忌避して病人の豊田氏がアッシー君となって大活躍。彼は明日からの長丁場にそなえて昼過ぎには帰る予定でいたのですが、夕方までおつきあい願うことになってしまった。立っているものは親でも使えという諺があるが、まことに申し訳ないことであった。行き当たりばったりの計画性の全く欠如した当会に居合わせたことを不幸と思い、ゆるせよと別れ際に合掌した。
 高天彦神社より極楽寺への中間地点にはお地蔵さまが。

 そして伏見地区でみつけた民家に少し毛の生えただけの珍しい伏見小学校跡(写真下)。
 これはなんだったけなぁ。一度にいろいろ名前を聞いたので聞きもらしてしまいました。​

 アメリカセンダングサとかボロギクの名前が飛び出してはいたように思えますが、メモする暇がありませんでした。


 夕もみぢが映えるころになってようやく葛城一言主神社へ到達。
 カンザクラがちらほら参道脇にみられました。そのこずえにはジョロウグモが風に吹かれて下弦過ぎの月の出を待っていました。



 灯入れどきの一言主神社本殿。

 名物のご神木、たらちねの語源を彷彿させる「乳イチョウ」は満身創痍で、痛々しいまでの演出ぶりに思わずお気の毒にと漏らしてしまいました。
 さて、いよいよ旅の終わりとなり、京、大阪、西宮、川西、三田、富田林とそれぞれのねぐらへ分散する前に別れの杯をと思い、近鉄とJR御所駅にはさまれた商店街でカレーうどんが絶品と自慢の「入船」さんをのぞきました。
 なるほど、カレーうどんは実にうまいもので、焼酎「神の河」を1本、みんなで分け合って別れました。酒の肴にしては異例のボリュームに、久々に満腹感を味わいました。


 ​​写真は霜月祭のイベントでうどん玉が出払ってしまったので、そばで堪忍しておくれといわれたカレーうどん定食。
 秋から冬の生き物事情を一挙に受け止めることになった今回のムックの旅も終わりました。12月は東大寺界隈の良弁の痕跡を探す旅。そのあと奈良町で納めの宴を予定していますのでどうぞお出ましください。





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最終更新日  2017年11月14日 18時18分21秒
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