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カテゴリ:川西きのこクラブ
川西きのこクラブも最近は参加者が多く、井上さんはじめ、市原さん、田中義人さんなどの世話人は大変です。しかし、それぞれの人柄がにじみ出て、きのこのみならず生き物すべてに関心を寄せる人たちが三々五々集まってきて、だれもが先生であり生徒である僕の理想に近い林間サロンが出来上がってきました。
ムックきのこクラブ同様、きのこの横並び社会が実現、みんなしみじみと心行くまで道草人生を楽しんでいるのが実感できます。 今年は冷夏と少雨。自然界も不規則に推移しています。もちろんきのこたちもご同様のようです。 アカヤマタケ Hygrocybe conica ヌメリガサのきのこはどれも可憐でしっとりとしていて美しい。触れるとゆっくりと黒変するのがこのきのこの特徴。雑木林や竹林で初秋の頃からみかけるきのこだが、近年出会いの機会がめっきり少なくなったので、早く出会えてうれしい。 ニセホウライタケ Clinipellus stipitaria 小型のホウライタケで全身微毛におおわれているので、湿り気を帯びるとテカテカ光るのが特徴。これより小型で脱毛サロンへ行ってきたような姿の類似のきのこがヒメホウライタケ。傘の紋がパラシュートのような筋が入るのと柄がニセホウライタケよりかぼそいので区別できる。 ヒメホウライタケ Marasmius graminum こちらが図鑑より収録したヒメホウライタケ。柄がしっかりしているが、通常はもっと短く細い。 この微細な差異を自分なりに見極める目を持つことがきのこ名人への道です。もっとも名人になっても何のご利益もありませんが、ここで「好き、好き」と言っているのが、口先だけか心の底から思っているのかが試されるわけです。 チャツムタケ Gymnopilus liquiritiae 精神に作用する毒きのこのオオワライタケのグループのきのこですが、夏の里山で一番なじみの深いきのこだ。針葉樹の朽木上に発生。これは出始めだが、成菌は傘は明るい茶褐色、ヒダは黄色のなかなかオシャレなきのこである。今年またどこかの森で出会ったら典型的な姿をワン・ショット掲載しましょう。 シロイボカサタケ Rhodophyllus muraii 傘のてっぺんに鉛筆の芯のような突起をつけるイッポンシメジの仲間だ。しかし、取れてしまってないものもあるので印象把握が大切。同型で全身が赤色のものと黄色のものがある。それぞれアカイボ、キイボ、+カサタケという。きのこは名前がでてこなければ、見たまま言うとよろしい。ほとんど当たります。オシロイタケ Oligoporus tephroleucus 湿っぽいサルノコシカケの代表格がこのおしろいのパフのようなきのこだ。甘い香りをもつが、食べても死にはしないがうまくはない。やや青みをおびたものにアオゾメタケO. caesius がある。 いかにもまずそうな大型きのこで、柄がカビがきたような白色を呈していたので、ニガイグチのグループといっておきましたが、これは、柄の特徴を度外視してもヤマドリタケモドキ Boletus reticulatus としか言いようがありません。冒頭の美人が日焼けしたように色変わりしたアカヤマタケと一緒に記念写真。 ヤブレベニタケ(幼菌) Russula rosacea 成菌は天神の杜の章でブログに載せています。幼菌はドクベニタケ R.emetica (高槻の伊勢寺の写真をどうぞ)と紛らわしいが、ドクベニタケの成菌は、傘のへりに溝線が入ること。柄はあくまで白く紅をさすことはない。 ヤブレベニタケの特徴はすでにお御足に。 ツチアケビ この無葉緑植物は、きのこと共生していると、かって論文が出たが、私はきのこと一緒に出ているのをみたことがない。しかし、この植物のみならず、ランなどはきのこをつくろうが作らなかろうが、きわめて当たり前に菌類と共生しているのは自明である。晩秋のころ真紅の猿田彦の鼻のような実をつける。 ヒロヒダタケ Oudimansiella platyphylla 老成したきのこだったので、一瞥しただけでモリノカレバタケの大型種のエセオリミキちゃんと言いましたが、帰ってみるとはなしに写真を見ると傘の色がグレーなのとまくれ上がったヒダが疎なのでここに訂正。エセオリミキは老成しても傘の表皮にどこか赤みが残りグレーになることはなく、またヒダはどんなにふやけても密のまま。 キウロコタケ Stereum hirsutum ウロコタケ科の基準種。チャウロコタケ、チウロコタケなどがあります。 ヒメコガサ Galerina hypnorum コケの間から発生するオレンジのこのかわいいきのこは、正確にはケコガサの仲間(ガレリナ)で上記が正式名称だ。面倒なときはいい加減にやや大きいのヒナノヒガサ Gerronema fibula、傘がマッチ棒の頭より小さくて赤いものはミズゴケノハナ Hygrocybe coccineocrenataと言い散らしているが、 この種のきのこは、実はなかなか同定がむずかしい。ミズゴケノハナはアカヤマタケと同じヌメリガサの仲間で、ヒナノヒガサはヒナのヒガサ(ゲロネマ)属。傘の中央がへこむのが特徴なので、この写真のきのこはヒメコガサちゃんということになるのです。 ウスキニセショウロ Scleroderma flavidum ホコリタケ Lycoperdon グループと同じ形をしていますが、これはニセショウロの仲間。割ってみると幼いころから腹が黒いので一目瞭然。同じ腹黒きのこのヒメカタショウロ S. areolatumとの違いは、基部に偽柄がないこと。さらにニセショウロとの違いは表皮がベージュではなく黄土色であること。どうでもよいことのように思えるが、この微細な違いをさりげなく理解してニコニコ笑っている人は極めてまれだ。これはどの世界にもいえることだが、他者というものを愛するうえでの基本条件だと私は考える。 澤山画伯が月のしずく16号(今月末にお届けできそう)に寄せてくれた『虫こぶのはなし』は、そんな生き物の微妙な差異を理解する愛情に満ちた数少ない友人だ。この日も、1日虫えい(虫癭)を探しもとめて、遂に発見。ニガイチゴの虫こぶがこれだ。宿主の名前+フシなので「ニガイチゴなんとかフシ」というのだろうか。 これがニガイチゴ。名前にニガイがつき、ちょっとキイチゴに比べるとエグミがあるというが、食べくらべさえしなければおいしいイチゴだ。 イチゴ特有のとげとげがあり、葉裏が白いことがニガイチゴの目安だという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年06月25日 22時15分49秒
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