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カテゴリ:川西きのこクラブ
豪雨のあと2週間日照りが続き、カラッカラに乾いた妙見山から本滝道を下り、野間の大ケヤキの青葉木菟を見つける旅。
ウマノスズクサ Aristolochia debilis 多年生のつる草で、ラッパ状の花には花弁がなく、ガク片が筒状に合着したもので胎児を思わせることが学名の由来。Aristos(=最良の)、lochia(=出産)、debilisは弱小の。そして独特の香りを放ち、虫を誘う。 ノカンゾウ Hemerocallis fulva var.longituba 朱色のユリ科の植物。花弁が八重なのがヤブカンゾウ。こちらの一重咲きのものがノカンゾウだ。学名も、1日花で昼間咲いて夕方には閉じてしまうことから、茶褐色の(=fulva)、一日の(=hemelos)、美しい(=calos)という意味合いの花。longitubaは花の形をあらわす長い筒の意。 妙見ケーブル。沿線途中で小鹿が草を食む姿が認められた。 妙見山上駅から広場へ登る道の脇には数株のウバユリが。 ウバユリ Lilium cordatum ユリ属でcordatumは葉の形が心臓形をしてることから。 普通、ウバユリを探すには春先に特徴のある大きな葉を出すので、覚えておいて真夏の頃に訪ねるのだが、ここではこれ見よがしに閲兵式さながらに並んで数株が出ていた。うす緑の花で花びらが割れたようにみえるので余り注目されない。花が咲くころには通常葉がなくなるので、その名も葉がない=歯がないときて姥百合なんてかわいそうな名前をつけられてしまったそうだ。 妙見宮の手水場わきには、ひっそりと水辺に涼を求めるモスラくんの姿が。 フトフタオビエダシャク Ectropis crepuscularia 変異が多く黒化した種もいるという忍者もどきのモスラくん。幼虫は広食性だというので樹種を選ばないで取りつくようだ。 風雨でダメージを受け運休中らしい妙見リフトの番をしている可愛いおねえさんを見つけたので、さっそく近づいて避暑がてらしばし立ち話をしたあと、脇の社のそばでみつけましたカメムシくん。 トホシカメムシ Lelia decempunctata 黄褐色のみるからにがっちりしたカメムシで、名前は背中に10の黒点(ほし)があることに由来するが、なによりも前胸の両側が著しく突出することが特徴的である。山地の樹上に生息しており、足元の朽木で見つけたのはラッキーだと思った。 木製のベンチやチップ材を敷き詰めた地上にゲロのように固まっていました。 変形菌のマンジュウドロホコリ のようです。 摂津と大阪の県境指標でもある妙見宮の山門。 妙見宮本堂。社務所近くの売店では桜川サイダーの新製品。マロン風味のサイダーが売られていて、みんなで分けて飲みましたがとても美味でした。僕は持参のバランタインのソーダ割りにしていただきました。 大地が芯まで干上がったこの日、それでも予想していた通りに成人式直後くらいの若々しい素敵なコテングタケモドキが待ってくれていました。 コテングタケモドキ Amanita pseudoporphyria このポピュラーなテングタケの食毒が不明というのはどうも納得がいきません。テングタケの成菌の傘のへりに溝線の入るものには致命的な毒性はないと亡き本郷先生は語っていましたが、このきのこにはへりに溝線が入っていません。おそらく猛毒きのこなのでしょう。 しかし、僕の友人は間違って食べたが何ともなかったと言っていました。 そんな話を聞くにつけ、「触らぬ神に祟りなし」という諺言が思い出されます。間違っても食べないようにしましょう。 また、「殺しの天使」(キラーズ・エンジェル)の異名をもつドクツルタケが「娘十八、番茶も出花」状態でお出迎え。今年は、初めてののデートです。先週の長岡では、僕たちの期待は裏切られテングタケの類には一切出会えなかったのでことのほか嬉しく感じました。 ドクツルタケ Amanita virosa 典型的な毒きのこで食べて半日ほどでコレラに似た症状を呈し、毒性は強く1本以上食すると数日以内に死亡するといわれている。しかし、緑深い森の中で出会うと雪女郎に遭遇したような不思議な誘惑を感じてしまうほど美しい。30年近く前に富士山ろくの深い森の中で私はとりわけ美しいドクツルタケに出会ったことがありましたが、後ろ髪を引かれる思いでその場を離れたのを鮮明に覚えています。 コガネネバリコウヤ クタケかと思いましたが、まだ新しい個体なので種名は定かではありません。サルノコシカケ類は硬質菌なので同定が簡単だろうと思うのは間違いで、彼らは成長しながら、それぞれの細胞が役割分担を決めていくのである意味、マツタケ型のきのこより同定がむずかしい。 2週間前の豪雨禍で本滝道も荒れに荒れていました。 本滝寺への長い急な石段の参道を下り本滝寺へ向かう。 本滝寺 ここでは修験のみなさまが瀧打ちの行をおさめるらしいのですが、こちらも行場が土砂で埋まってしまったようです。 野間の大ケヤキでは巣立ち間近の青葉木菟の子供2羽と両親鳥の計4羽を見つけることができました。 野間の六地蔵板碑(いたび) この地は猪名川の上流部にあたり、安徳天皇の墓があったり船づくりにたけた秦氏の木場にゆかりある土地柄で、妙見山の奥に広がる広大な台地を成していて、歴史的にとても面白いところだ。 この暑い一日、さすがに参加者は少なかったものの、それでも元気はつらつのきのこクラブの人達。かやぶき屋根のオシャレなバス停で記念撮影。 バスで妙見口までもどり、能勢電鉄妙見口駅前の津の国屋さんで道中の無事を祝いビールで乾杯。 本日の山旅で出会った野山の仲間たちの話に始まり、同行の日露交渉史研究家のHさんからは日露戦争の捕虜が姫路でなめし革の技術を伝えたポーランド人捕虜にまつわる秘話を聴くことができ、大いに盛り上がりました。 ハイキングのあとのこうしたサロンこそが私たちの旅の最もかけがえのない時間。「いつもこれくらいのメンバーならいいのにね」と語り合って別れたことでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年07月29日 10時51分00秒
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