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カテゴリ:ムックきのこクラブ
キヒダタケ Phylloporus bells 色は別にして、形だけで判断すると垂生したヒダが扇の骨にみえるオウギタケ、あるいはカラマツ林にみられる灰褐色のキオウギタケとよく似ていることからオウギタケ科の仲間と考えられてきた。 このきのこが傘の裏が管孔状のイグチに含められているのは、ヒダ同士を連絡する脈状の隆起が著しい場合にヒダではなく管孔状になることから。 そんなことから、観察会などでこのきのこを見つけるとハラタケからイグチへ移行の過渡期にあるきのことして私たちも得意顔をしてそう語ってきたものだ。ハラタケ型のきのこからイグチ型、さらに腹菌型への移行の過程にあるきのこと言われてきたが、近年、分子系統分類が導入されて、その解析の結果からは傘の裏が明らかにヒダでしかないオウギタケとは無縁で、アワタケ属のきのこの近縁ということに落ち着いた。 野山で出会った第一印象は、傘のテクスチャーからすれば、まさにアワタケそのもので納得できる。しかし、ヒダをもつきのこにもかかわらず、イグチ科に含められてきたことに変わりがないのは、かってはヒダよりも管孔の状態のものが多かったからではないかと思われる。 私は、長いつきあいになるが、このきのこのようにヒダ状か、ごく一部が管孔になってはいてもヒダが顕著なキヒダタケしかみたことがない。 イロガワリキヒダタケもあるが、それは触れた尻からあきらかに青色に変わることから名付けられたもので、学名もキヒダタケと同じラテン名にvar.cyanescens (青変性をもつ変種)との記述が加えられ、顕微鏡でみると胞子もキヒダちゃんのものよりやや長いことで区別されている。 しかし、肉眼的にはほとんど変わりがなく、キヒダタケでもこのきのこのように時にうっすら青変性をもつものが多いので、僕はキヒダタケはすべて色変わりするものとして分けて考えることはしないできた。やたらと細分化してもったいをつける必要はない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年10月16日 16時57分02秒
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