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カテゴリ:ムックきのこクラブ
能登川博物館を後にした私たちは、「みずぐるまのしずくならではつゆおとなふものなき」水郷集落の伊庭をめざします。 猫ちゃんが集落の静寂をやぶるわれわれ闖入者の一行におそるおそるご挨拶。 おもいのほか豊かな農村風景を残す伊庭集落に入ると、仏光寺派の門徒宗の寺・正厳寺の前の水路に浮かぶ田舟が目に入る。 境内で信長に用水路確保の嘆願をし、水利開拓事業で殉難された河原崎さんの顕彰碑を見ていると、ご住職が出てきて本堂に案内していただいた。写真上は市の文化財指定を受けた名号掛け軸。下は本尊の阿弥陀如来像。能登川は連歌師・宗祇の生まれた地。掛け軸の脇にも種王庵宗祇法師の塔婆が。 寺内は外観からは計り知れない荘厳の浄土世界が封じ込められていました。 町を縦横に巡らせる水路には霜月の日の光を浴びて丸々と太った鯉が悠然と泳ぎ、のどかな風景が広がっている。そのかたわらの伊庭城址公園で待望の弁当を広げる。 こうして逆光で撮るとなんの変哲もない水辺の景観が、いささか素敵に見えるでしょう。 伝統料理研究家の奥村彪生さんが、多忙の中ひょっこりと現れていただいたおかげで、ウナギとサバの押しずしにありつけ、とても幸せなひとときでした。いつもはあやおちゃんと「ちゃん」づけで呼ぶのですが、この日は昇格して「先生」と呼ばれていました。よほどおいしかったのでしょう。 飲み物も当日の肴にふさわしい近江高島の地酒、月桂冠のレトロ醸造酒と生酒、スコッチ、ラム、チェリーのキルシュ・ブランデー、そして松江のサバの塩辛。 この地区にハマのつく地名が多いのは、琵琶湖の内湖の水際であることに由来すると思われる。その中心をなす大濱神社は、毎年の5月、伊庭川の水源に当たるきぬがさ(繖)山頂から神様を載せて里を経由して湖へとお迎えする坂下しの神事のみこしを収納している。 坂下しは今年5月、テレビのニュースでたまたま拝見したが、信濃は諏訪の御柱に相当する荒行事だ。 大濱神社境内でみつけた一本足で屋根をささえるきのこ。同様のきのこモニュメントは、奈良の当麻寺界隈の山口神社でも見かけた。今日は、午前中のきのこ展といい、野生のきのこではないきのこたちで満喫する旅となった。 この農村舞台のようなかやぶき屋根の建物に神輿が格納されている。 「安土問答」でその名を残す貞安上人の住持した妙金剛寺(かっては伊庭山の山中にあったものを移築したという)では、僕の唯一のたのしみである寺の梵鐘を思う存分突くことができ、溜飲をさげることができた。 さておなかも膨れて、繖山の北向十一面観音に登りたいなんて言う人はいないだろうなと、それぞれ何食わぬ顔をして山辺を指して歩きはじめた。そののちどうなったかはご想像におまかせしよう。 しかし、水への風景はなごみます。 この日の旅は、ムックきのこクラブの1年でももっとも印象深いものとなりました。次月の納めの会も近江の33年目に1度ご開帳の秘仏をめぐる旅です。あやお先生はきてくれはりまっしゃろか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年11月14日 10時40分50秒
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