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カテゴリ:きのこの文化誌・博物誌
モダンダンスのUさんから招待されてMDFダンススタジオの2018年発表会にかけつけてきた。
世代差を超えて懸命に身体芸術に真摯に取り組む若者たちのダンススクールが、しかも尼崎にあること自体に驚いたが、Uさんから開幕前の立ち話に校長は元パニクルーのリーダーと小耳にはさんでなるほどと思った。 笠原康哉(かさはらやすちか)といえば、ストリートダンスの草分け的存在のパニクルーのシンガーであり、ダンサーでもある。彼の駆け出しの頃のニュースを興味深くみていた記憶が鮮明に思い出されてきた。 今、大都会の片隅で、ストリートダンスに日夜励んでいる若者たちはわんさか居る。しかし、そんな中でもこうした組織だった形でダンスに取り組んでいく場があるというのは素晴らしいことだと思った。笠原氏のダンスに対する経験と熱情が、こうした形を生み出したのだろう。 Uさんは、数年前にこのスタジオのNaoki先生の指導するジャズクラスに参加して今日に至っているとか。 Uさんの活動ぶりについては、月のしずく18号(2018年10月発行)でもお伝えしたが、このスタジオでダンスに目覚めてからの展開はまさにめまぐるしいものだったようだ。そのUさんのルーツとなるダンススクールの発表会は、私にとっては初体験だったが、このスタジオのよいところは青年も少年も、はたまたキッズも、ダンスの前に一切平等であるというスタンスがひしひしと感じられたことだ。 そして、Uさんのダンスがいよいよはじまると、彼女のジャズクラスは、ヒップホップが主流のこのスタジオの中では全く異色のグループだということは直ちに了解できた。が、それが何の違和感もなく並存していることは、笠原氏の度量の深さだと改めて感じ入ったものである。 Uさんは、このグループに溶け込んでいて、しかもとてもしっかりとしたオーラを放っていてたのもしい。 しばらく彼女たちのダンスシーンをご堪能あれ。 さて、ジャズクラスもさりながら、こうした少年少女たちが入り乱れて、見事な調和を生み出しながら自己主張する姿にはほれぼれする。 個性的でありながら、しかもそれぞれが他のメンバーの動きを同時に引き立てているのだ。私が夢見てきたダンスというものの究極の理想形がここでは展開されていた。 こうしたテクノポップダンスも健在で、このスタジオでは比較的、年長組のメンバーたちが健闘していた。 僕は生まれて以来、こうした身体芸術には無縁のままに育ってきた。 というのは、身体のどこをとりあげても、絵になる部分を一切与えられていないというコンプレックスを人知れず抱き続けてきたからだ。そして、その思いはいささかも改変されることなく、「おじん」といわれる季節に突入。そんな僕の羨望の世界がここには確かにあって、何か他人事ならず、胸すく想いがした。Uさんのおかげでこんな素敵な世界に没入することができてとても感謝している。 この日の印象だが、このスタジオの中でも、身体表現としての可能性がダントツに高いものは、やはりジャズクラスにあると感じた。 なんとなれば、音楽とダンスが混然一体となりながらも、ヒップホップの世界は、ついには音楽に対して従の関係を超えられないものがあるのに対して、この発表会の中では異質ではあっても、ジャズクラスのモダンダンスは、その音楽の魅力を最大限に表現しながら、それをもしのぐ表現力をダンスそのものが持ちうる可能性が感じられたことだ。 先月の十五夜月 それにしても、このスタジオの熱気からは、私のこうした第一印象はたちまち打ち砕かれるであろうことをも感じた。そんな意味でも、私の世界に突然侵入してきてたちまち私を魅了したUさんを取り巻くダンスの世界は、これからしばらく目が離せないものとなってしまった。 21日の冬至に続きダンスの22日の日曜日は15夜。そして振替休日の今朝出勤途上でも見事な十六夜のまどか月を認め、3日連続で堪能したことになる。 きのこ暦も第4期の2年をすでに無駄にやりすごしてしまった。いよいよ私も肚をすえて21世紀にふさわしいきのこ世界の新たな展開に取り組まねばならないと感じている。まもなく迎える亥年の1年。背水の陣を引いて奮闘すべきときのようだ。 そんな私を力強く後押ししてくれた感動の一日だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年12月24日 23時44分10秒
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