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2020年11月10日
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 逝く春を近江の人と惜しみける 芭蕉の「猿蓑」所収の句 
「去来抄」には、この句に尚白が「何だい、この句は。…行く歳を丹波の人と惜しみける…でもまったく通用するぜ」とイチャモンをつけたのに対して、芭蕉は去来にどう思うかと問うたことが記されている。去来はそんな芭蕉に対して「いえいえ、この句は近江だから、そして春の朦朧とした湖水風景だからこそ成り立つものです」とヨイショしている。しかし、俳諧の詩としての蘇生を企てた芭蕉だからこその独自性のある立句ではあっても、今となっては尚白の難ももっともと思える。
 ​「根岸が里の侘びずまひ」がどんな季語をつけても立句らしくなるのと同様に、この句は季が動く典型的な立句だ。
そんなことをくさくさ考えながらの高校時代以来、信じがたいことではあるが実に半世紀ぶりの近江八幡詣でだ。​


 今回は、ムックの旅に何度か持参してくれたおいしい漬物やさんがあるというHさんのすすめで八幡山(鶴翼山)にした。
低山逍遥で、加えて片道ケーブルカーなので、午前中で終えて午後はのんびり近江の水郷地帯散策だなとたかをくくってやってきたが、バスに乗って八幡山からどんどん遠ざかっていきどうも雰囲気が違う。
 下りたったところはユースホステル前。百々神社が始点の縦走だという。これがまた端山なのになかなか起伏に富んでいて、息も絶え絶えの連続でしたが、なかなか楽しかった。


 山旅の終点の麓の日牟禮(ひむれ)八幡宮。折から菊花展が開かれていた。
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 城跡のある鶴翼山の頂上付近はラブスポットになっていて愛の南京錠をかけるところこそなかったが、電飾のイリュージョン・ハートで心臓パクパクの縦走を終えて黄泉がえりを果たした記念に久々に記念写真もパチリ。
 八幡山の頂上には神社のみがあると思っていたが、神社は山麓。ここには城の石垣と紅葉だけが残り、こうしたLOVE・LOVEスポット以外は意外と俗化を免れており、大いなる勘違いも楽しいムックの旅となった。

 展望台には丸々太った毛並みのいい猫ちゃんが4匹、いや、まだまだ居そうな雰囲気だったが、善意の観光客に愛されて育っていることがありありと偲ばれる風貌を備えていた。

 日牟禮八幡宮でS画伯が「たまらんちー、しびれちゃう」と、ぞっこんの緋はかま姿の巫女さんがいたので挨拶をすませ、門前の日野菜専門店でHさんおすすめのキムチ漬けをどっさり買って八幡堀を巡り、駅まで徒歩。
ここだけの話ですが、これが一番つらかった。しかし、途中でそのきのこさんが作品展をしたところではないかと思われるダイゴという名のビルを通過。また聞いてみましょう。こんな思いがけない発見もあるから、文句は言わずになにがなんでも歩きましょう。
こんな好奇心も欲も皆目なくなったときには、晴れてムックきのこクラブ解散と云うことに致しましょう。


 近江八幡は、信長亡き後天下を取った秀吉が、秀次に命じて安土の城下町をここに移したと言われ、今は昔の話ですが、往時の新興都市。近江商人発祥の地というのもうなづけます。
 
逝く秋を近江のきのこと過ごしける
 今日歩いたところは、秀吉の甥の秀次の八幡城築城以前の山城があったところで、途中山城跡もありありと残っていました。ひでり続きの後でしたが、秋のきのこたちともたくさん出会い、思い出深い一日となりました。
きのこたちとの出会い系ブログは次回よりいたします。
 近江は見どころ訪ねどころ満載
 能登川といい近江八幡といい義仲寺のある膳所といい、湖と森と人たちの織り成す近江はステキなところ。まだまだ楽しいところ一杯です。





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最終更新日  2020年11月10日 11時24分21秒
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