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2020年11月13日
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​​​ 植物にはまったく不慣れな私だが、以下に述べる植物誌は、日本キノコ協会創設当時、ご尽力いただき若くして逝ってしまった柿原申人(kakihara Nobuto)さんからの受け売りである。
​​​​​
 コウヤボウキ ​​Pertya scandens​​​​​
 草のように見えるが純然たる少低木。僕たちが普通見かけるのは1年目のもので、葉は丸く、細い枝の先端に筒状花をつけ、しかもそれが裂けていることで目につきやすい。しかし、冬になると葉を落し、2年目の葉は細長く数枚束になって出る。そして枝は木質化して年輪もできる。高野山で束ねて箒にしたという言い伝えは、この2年目のものである。そして高野ボウキはたった2年で命終の時を迎えるという。関西以西の本州から九州にかけて分布していて花期も9~10月とされる。

  ​サルトリイバラ ​Smilax china​​​ ​の実​​
   こちらも山野草では周年よく出会う植物で私のような者でも記憶に残っている。山屋時代に藪漕ぎをすると必ず体に絡みついて痛かった思い出のある蔓植物である。まず、春さきに淡い緑の茎が伸びはじめ、そこから巻きひげが延びだして風にゆらゆらしながら何かに触れるとそれに巻き付きふたたび茎をのばしといった風に繰り返してジグザクに高きを目指す。
 この葉は端午の節句の餅を包むのに用いられることでよく知られている。
生け花などでは山帰来とよばれているが、これは中国に自生している同属のツル性植物の土茯苓(どぶくりょう)の異名・山奇粮(さんきろう)がなまって日本でつけられた漢字名であるという。柿原さんによれば、この山帰来は戦国末期に日本に上陸し、一気に蔓延した梅毒に深くかかわっているという。当時、土茯苓(山奇粮)の塊茎がその病に効くとされ、御朱印船で大量に輸入された記録が残っているらしい。それが江戸時代に入り土茯苓の輸入が減少すると、この近縁植物のサルトリイバラが和名の山帰来としてその地下茎を用いるようになったことから混同されるようになったというのだ。
 ただ、このサルトリイバラもれっきとした漢方薬で痛風や利尿排泄作用があるらしく梅毒にも全く効用がなくもなかったらしい。淡緑色の小さい花は秋には粉を吹いたような赤い実になる。クリスマス・リースによく用いられる人気のサルトリイバラ。この堅い果皮に包まれた実が緑色の時期に採って乾かすと白くなり、赤くなったものと合わせて編みこむと紅白の実のリースができると教えてもらった。ただし、時期が早いと果皮に皺が入るので採取時期がなかなかむずかしいそうな。


​​ イワカガミ  ​​Shizocodon soldanelloides​ 
 この日、亜高山地帯で見られるイワカガミの群落にも出会った。艶葉が銅鏡に似ることからの命名とされるが、山屋時代には花も葉もごく普通に見られさほどの感慨はおぼえなかったが、この近江の低山での出会いにはやはり喜びを覚えたのでここに記しておこう。この日出会ったイワカガミはすでに種子も落した姿で現れたが、4月から7月頃束生した葉の中央からごらんのような花茎をのばし、先端に数個の淡紅色の総状花序をつける。





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最終更新日  2020年11月13日 08時24分41秒
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