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カテゴリ:ムックきのこクラブ
和風パスタの店・五右衛門の秋のおすすめメニューが目についたのでのぞいてきました。
伊達鶏と秋のきのこのポルチーニクリームソース \1280- イベリコ豚ときのこづくしのよくばりスパゲッティー(醤油バター) \1280- 大々的に大書された 山形県庄内産 鳥海なめこと秋田県産 白神えがお茸。この白神えがお茸の文字が私の好奇心を大いにくすぐったのです。 オオワライタケでも入れてくれていて、食後、サービスが悪くても、料理がまずくても、みんな笑顔で支払いをすませ、ケラケラ、カッカ、大笑いしながら出ていく様を想像したからです。オオワライタケならちょっと苦みもあり、ひょっとしておいしいかも。そんな茶目っ気精神がくすぐられたのです。出てきたえがお茸は、白神山地とはなんのゆかりもないエリンギで冷や汗でなく思わず笑顔も浮かび、なるほど笑顔茸やと思ったことです。 このエリンギについてはいささか思い出が。 80年代なかばに、故・本郷次雄先生から我が国におけるロシア菌学の紹介者となってほしいと頼まれ、どっさりロシア語のきのこ図鑑や文献を戴きましたが、ウクライナのワッセル博士(アレクサンドル・ソロモン・ワッセル)の書物にはすでに、このきのこについて触れられていました。 これはロシアのステップ地帯にごく普通にみられるの大型のセリ科植物・エリンギウム(Eryngium)の根に寄生する草本生のヒラタケで、枯死した根や茎からきのこを発生させ、主としてリグニンを分解する白色腐朽菌。将来優秀な食用きのことなるだろうと予言していました。 ところが、我が国でもすでに1982年、故・衣川堅二郎博士や新井滋氏によってヒラタケの注目すべき近縁種として紹介されていたことを後で知りました。そして、私がワッセル博士の著書にふれて喜んでいたちょっと前の1993年2月には、すでに有害植物ではないとの認可を受け、台湾から愛知県に正式輸入されて同年10月にはカオリヒラタケの商品名で人工栽培が始まっています。 このカオリヒラタケはそののちイタリアに関連づけられた名前をつけたり、ミヤマをつけたりの紆余曲折を経て、香りや風味を強調することをやめ、ストレートに寄主植物エリンギウムの名をそのまま流用し、エリンギPleurotus eryngii とすることで、折からのノンカロリー食品ブームの波にうまく乗り、短期間で驚くほど売り上げを伸ばしたのです。こうした新種の食用きのこでは珍しく、このえがお茸はきのこ業界ではほほえみどころか笑いがとまらんきのこに急成長したのです。そんなことをあれこれ思い出しながら食べましたのでことのほかうまかったです。 とりわけ伊達鶏のポルチーニクリームソースは絶品でしたよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年11月20日 11時52分10秒
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