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2021年05月17日
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 入山前にラムとアイリッシュで早々と乾杯し、心の準備を済ませた私たちは、いよいよ三門をくぐることに。今回は寺の関係者の姿は一切見られず、入山料も自由意志で。となると、布施をしたくなるのは人情である。我が国の寺院は、この憎い配慮を大いに学ぶべし。

 境内の諸堂をつなぐ道には中央を菱形の石がつらなり、その左右を葛石でおさえた意匠。中央は高僧と参拝者のみが歩き、修行僧は踏んではならず葛石の上のみを歩くという。とても自由闊達な空気の中に修行する意志を持った者には厳しい戒律を課すという万事、個々人の自由選択に任せているとことても清々しいものを感じる。

三門から三方を山で囲まれた平地の境内には天王殿、大雄宝殿、その奥に法堂と一直線に並んでいる。
寺の玄関ともいえる天王殿には弥勒化身の布袋像。

布袋像の安置された天王殿の四隅には四天王であろう神像が並ぶ。



 本堂に当たる大雄宝殿の脇の斎堂(食堂)には時を告げる大魚を模した開版(木魚の原形といわれている)。斎堂の前庭には僧侶たちが自身の食事の一部を飢えた者たちに捧げる生販台が置かれている。



 斎堂に続く萬福寺最大の建物・大雄宝殿には本尊の釈迦如来坐像が安置されていて、その堂の東西には十八羅漢像が居並ぶ。



 ​​​​​ひときわ目を引くパフォーマンスのはんだか尊者。​

そして最奥部には両脇に方丈を配した法堂が。
この三つの直線状に並ぶ堂(これを明朝様式の伽藍配置というらしい)の両脇に禅堂、舎利殿、祖師堂、合山鐘、開山堂、聯灯堂、文華殿などが整然と居並ぶ。
人影のない境内でひさしぶりに鐘楼も突き放題。お釈迦様の掌で遊ぶことの楽しさを実感した。
また諸堂をつなぐ回廊が敷石でできており、靴を履いたまま回遊できるのはうれしい。

そしてその回廊は蛇腹天井で覆われていた。これをみて、ルーブル美術館の数百メートルに及ぶアーチ屋根のグランド・ギャラリーを思い出した。
ルーブルは古今の名画でこちらは借景のみ。この東西の美意識の違いに気づかされたひとときでもあった。






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最終更新日  2021年05月17日 18時37分17秒
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