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夢みるきのこ

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2021年10月12日
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​​​​ 寒露も過ぎた長月五日(10月10日)の日曜日。
 秋の光に誘われ、芭蕉、観世親子、忍び一族を育て、服部氏を支えた秦氏たちの城下町・伊賀上野を歩いた。

 加茂駅から亀山へと向かうJR関西線は、笠置を過ぎた頃から伊賀上野までは隙あらば原野に戻してやるぞという植物たちの強固な意志と抗いながら進んでいく。極度の徐行運転や視界の広がる地点でのきまぐれな高速運転など、天下のJRでは珍しい列車で藪漕ぎが楽しめる貴重な路線である。
 そんな単線路の魅力を満喫して皆の到着する1時間半近く前に伊賀上野駅に降り立った私は、駅周辺を散策してフォト・スケッチしてまわった。
 この辺りは伊賀上野の三田焼(みたやき)の窯元がちらほらとあり、朝の光の中でひときわ異彩を放っていた。


 農家の庭には、いずこも光まみれの秀明菊がゆらぎ、畑の端にはつゆ草が繁茂している。
 そんな秋ならではの風景に身を置き、露の世にいきるということの意味を考えるともなく考えてから再び駅舎へと戻った。​


 この日、伊賀上野城ではこの2週間の過乾燥にも拘わらず見事なきのこたちと出会い、芭蕉をめぐる城下町ではうれしいハブリングに2つも恵まれ、夕暮れ時には田楽庵「わかや」での豆腐田楽をいただき、とっぷり暮れてからの帰途には藪漕ぎ列車の不安が的中し、車中泊まりになるかと思われるようなスリリングなハプニングに見舞われ、早朝の5時から深夜の10時半の帰宅までワンディトリップとは信じられないほど豊富な経験を味わわせてもらった。
 伊賀上野は古代、東国への玄関口。この木津川流域の笠置、月ヶ瀬、島が原、伊賀上野は、私のライフワークに幾重にも重なる大切な場所なので、命あるかぎりくりかえし訪ねることになる土地柄だ。
 今回は鈴鹿在住のレザークラフト作家・結城春樹氏とも出会い「月のしずく」35号を謹呈、大満足の一日であった。
 この日一日の出来事は、これから追々お伝えすることにしたい。
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最終更新日  2021年10月12日 13時02分50秒
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