026714 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ブルーロブスト

ブルーロブスト

カレンダー

日記/記事の投稿

バックナンバー

2024.09
2024.08
2024.07
2024.06
2024.05

カテゴリ

コメント新着

ブルーロブスト@ Re:お久しぶりです MAD・WINDさんお久しぶりです! …
MAD・WIND@ お久しぶりです どうもお久しぶりです! 復活してくださ…
鈴時@ なんですと!? ゲームの貸し出しやってるんですか? 逆…

お気に入りブログ

CHORO WES… MAD・WINDさん
Wing road GT×Car wo… ミラクルイエローさん
2008.03.01
XML
カテゴリ:小説


ウルヴィア

プロローグ

まるで白紙のような 真白な空、風の音もないそこは、祭壇のようだった。
階段ははるか先にまで続いている。それを上った。一段一段、ゆっくり足をつけ、その音だけが、
身体全体に響く。長い階段を上りきる。その上には、淡い光を放つ剣が、石段に刺さっていた。
剣に近づき、それを掴んだ。
途端に剣は光を失い、世界は一瞬で荒野に変わる。
白い空は黒く染まり、熱い風が砂と共に吹きつけてくる。
目をきつく閉じ、砂を防ぐように手で隠す。
(・・・イ・・・ン)
声が、風の音に混じって響く。
(・・・アレイン・・・)
目をおもいっきり開け放った。

「アレイン!」
自分を呼ぶ声に、赤髪の青年――アレインは素早く身体を起こした。
そして声のする方に真っ赤な瞳を向けた。扉の前には、男が立っていた。
「っせーな」
アレインが不機嫌そうに言ったが、男は勝手に部屋に入り、カーテンを開け放った。
まだ少し赤みを帯びた日の光が、暗い部屋を照らした。
思わず目を隠した。
「まぶしっ・・・」
ある程度目が慣れた後、手を下ろして男の方を睨むように見た。
ブラウンの髪が太陽の光を反射している。青い目は真っ直ぐ、アレインの目を見返していた。
整った顔は少し怒っているようで、眉間にシワがよっている。
「二フォード、テメェ・・・」
低い唸り声を上げながら、アレインは言った。彼にとって睡眠時間を他人に削られるのは、
食事の中から大好物を取られるのに等しい程、腹立たしい事だった。
それを知っているだろうと、目を細める。
しかし二フォードはそれを無視し、部屋を出た。キッチンから、
「朝メシ。」
と二フォードが言ったのが聞こえた。
アレインはしかたないとため息をついた。素早くベッドから離れ、服を手に取り、着替え始めた。

部屋を出ると、二フォードがテーブルに朝食を並べているところだった。
彼はアレインに気づくと、ニコニコしながら言った。
「すげーだろ?新メニューだ。」
彼の顔からテーブルに目を移した。そして、朝食とは思えない品々に、目を見開いた。
「これ、二フォードが作ったのか?」
料理を目で追いながら聞いた。香りをかぐと、舌なめずりしそうになるほどである。
「ったりめーだろ!ほら遅刻すんぞ、早く食え。」
アレインはすぐ席に着くと、もう一度料理をながめた。
コーンの入ったポタージュ、パリパリのチキン、キレイに切られたパン、そして、
色取り取りのサラダ。
アレインの目が、サラダで止まった。汗が顔中から流れている。
「どうした?」
二フォードが聞くと、アレインは汗で濡れた顔をゆっくりと向けた。

「・・・サラダ?」

100%サラダのそれを、指差す。二フォードは真顔で頷く。
「サ、サラダって?あれ、なに?」
不思議な質問に思わず首を傾げる二フォード。
アレインは何かを訴えようと、サラダを指差し続けている。
「何って・・・野菜?」
アレインの表情が凍り付く。ピシリという音が聞こえてきそうだ。
そのリアクションで、二フォードはやっと理解した。額中を怒りのマークで埋め尽くし、

「いいから、食えー!」

目を光らせながら怒鳴る。顔の上半分が真っ暗になり、異様に怖い。
アレインも負けじと声をはり上げる。
「食えんもんは食えーん!ベジタブルなど、人の食べ物じゃない!」
2人は顔がくっつきそうな距離で、火花を散らしあう。

どのぐらい時間が経っただろうか。大きな鐘の音が響いた。

2人共、お互いの胸ぐらを掴んだまま、鐘の音に聞き入った。
そして、同時に卓上の時計を見る。悪い予感が頭を駆け巡る。
時計の針がゆっくりと動く度、2人の顔の陰りが広がっていく。
汗が、滝のように流れ落ちていく。
針が一番上にのぼり、すべての針が数字の位置にきた。

しばしの沈黙。
時計の針の音だけが、静かな部屋を満たした。

「「遅刻だぁ~っ!!」」
同じタイミングで叫び、急いで準備をはじめる。
「おい、オレまだメシ食ってねーぞ!」
アレインが、戸締まりをしながら言う。二フォードは自分の食器を片付けながら言う。
「ラップして置いとけ!」
「朝メシは!?オレの朝メシ!?」
「知らん!だいたいお前がオレの作った朝食にケチつけるからいけないんだ!」
言い放って、先に出て行ってしまった。
「あ!待て!逃がさん!逃がさんぞぉ~!」
アレインは鍵をかけ、怒鳴りながら二フォードを追いかけた。

それを笑うかのように、学校のチャイムが鳴り響いた。


―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――


暗い檻の中では、濃い青の光が2つ、動いていた。
低い唸り声を上げ、時々引っ掻くような音が聞こえる。

「そんなに、出たいかい?」
檻の奥から、まだ若い男の声が、足音と共に聞こえた。
青い光がその声の主を捉える。そして質問に答えるように、檻にぶつかる。
「じゃあ出してあげるよ。でも、やってもらわなきゃいけないことがある。」
男は言うと、自分の背丈の倍ほどもある檻の前で、剣を振るった。
するとその一角が、いとも簡単に破片と化して崩れおちた。
「兄弟を探してきてよ。でも、殺しちゃだめだよ。」
黒い塊のような体が、檻から這い出して来た。
そしてそのまま逃げようとする。
と、男の剣が翻り、その尾を切り落とした。

黒い液体があたりに飛び散り、耳を塞ぎたくなるような咆哮が、悲鳴のように響いた。

「次は頭を落とすからね。」
男は剣を青い目のある頭に向けた。口元が笑っている。
「それでもドラゴンかい?」
低い声で言う。
そのとき光が当たり、ドラゴンと呼ばれたその姿を照らし出した。

所々ゆがみ、捻れた角が2本生えている、まるで鬼のような顔。
形状は違うものの、人間のように2本の足で立っている。
どれを取っても、我々の知るドラゴンとは見えないような姿だった。
「早く行きなよ。」
言われ、歯を剥き出し低く唸るが、男が剣を構えると、諦めたように歩き出す。
男はそれを、満足そうに眺めていた。

しばらくすると、遠くから化け物の咆哮が聞こえた。




ども!ブルーロブストの友達の、ロードマスターです!
今回は、僕の初作品『ウルヴィア』を読んで頂き、ありがとうございます!これ
からもブルーロブストの力を借りて、書かせて頂きます!
もしよろしければ、感想・要望等がありましたら、是非お願いします!





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.03.01 22:48:51
コメント(7) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X