カテゴリ:純情きらりとエール
"KY"なのにモテすぎちゃって困る桜子と、
モテなすぎて嫉妬やら欲求不満ばかりが募る笛子。 双方の八つ当たりが、しばしば衝突します(笑)。 ◇ 2006年の本放送のときには、 桜子のKYっぷりに対する反感のほうが多くて、 笛子に対しては同情や共感の声が多かった。 でも、わたしには、 自分の欲望に真っしぐらな桜子の、 笑えるほどのKYっぷりは、かえって清々しくて、 逆に、 妬みやら欲求不満やらを蓄積させて、 それが行動原理になっている笛子の姿は、 あまりにもイタすぎて、ほとんど醜悪でした。 ある意味、いちばん面倒くさいタイプの女です(笑)。 そんな笛子にくらべれば、 青森から死物狂いで追いかけてきた許嫁女の、 破滅的なストーカーっぷりのほうが、 むしろ清々しく思えたしだいです(笑)。 ◇ ちなみに「KY=空気読めない」という言葉は、 このドラマが放送された2006年に生まれたらしいです。 14年たって、いまや死語かもしれませんが…。 『知恵蔵』によると、 2006年ころから女子高生の言葉として使われ、…だそうです。 浅野妙子は、そんな時代に、 あえてKYなヒロインを生み出したのですね。 意外に先駆的だったのかもしれません。 ◇ 桜子は一見するとKYなようで、 じつはちゃんと空気が分かってる面もありますよね。 ただし、分かっていても、 あえて「空気を読まない」のも桜子の生き方です。 しかも、 このドラマに描かれている「空気」は、 戦争へ向かっていく世の中の、 シャレにならない「空気」でもあります。 笛子や徳治郎は、 世間の空気に染まっていくタイプだから、 権威とか体制とかにも従順で、 戦時下の空気にも流されてしまいます。 でも、 桜子は、そういうことに左右されません。 よくもわるくも、 自分の欲望と自分の価値観にだけ忠実ですから、 他の人とは行動原理が違うのです。 そこに、かつて父の言った、 「桜子の強さ」と「笛子の弱さ」があります。 ◇ 本放送から14年もたってますから、 「KY」なヒロインに対する視聴者の反応も、 だいぶ変わっているかもしれません。 物語の終盤になると、 笛子は、桜子に向かって、 「あんたが羨ましかった」と言います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.10.12 18:48:11
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