カテゴリ:純情きらりとエール
「純情きらり」でも「エール」でも、
町の喫茶店が癒しの場になっていたのですが… 喫茶バンブーは、 敵性語を禁止されて「竹」と改名し、 やがて材料を仕入れられなくなったので、 閉店を余儀なくされてしまいました。 喫茶マルセイユのほうは 昭和14年の時点ではまだ営業してますが、 やがて「丸勢勇」と改名することになりますし、 やはり閉店することになるはずです。 ◇ 治安維持法のもとで特高警察が活発になっています。 冬吾は、 かつてマルクスを読んでいたので、 笛子は、 学校で源氏物語を教えていたので、 取り締まりの対象になる危険があった。 豊橋の関内家もクリスチャンだったので、 音も軟弱な女流小説を書いていたので、 やはり危険な立場におかれていたようです。 桜子もジャズが好きだったので、 特高に狙われる危険はあったわけですよねえ。 ◇ しかし、 冬吾の場合は、 実家が大地主だったことが救いになりました。 関内家の場合も、 稼業が陸軍御用達の馬具屋だったことが、 小山家の場合も、 裕一が戦時歌謡の名手だったことが、 やはり救いになっていたのだと思います。 裕一や五郎が兵役を逃れたのも、そのためです。 そういう不公平がまかりとおる社会でもあります。 そうでなければ、 「おしん」の俊作や浩太のようなことになりますよね。 小林多喜二みたいに、 右翼の憂さ晴らしみたいに殺されてしまう。 ◇ 当時の国家主義者たちが、 日本の最重要の古典である「源氏物語」を嫌っていたのは、 今でいえば、 ネトウヨが大江健三郎のノーベル文学を嫌うのに似ている。 はたから見たら、 どっちが国賊なのか分からないのですが、 彼らは「愛国」という名目で、 日本社会の文化的洗練をつぎつぎに抹殺していくのです。 結局のところ、 戦時中における特高警察の取り締まりは、 現代におけるネトウヨのうっぷん晴らしと、 基本的には同じ心理なのだと思います。 一言でいえば、国際主義に対する「妬み」ですね。 現在のネトウヨも、 大江健三郎とか、是枝裕和とか、伊藤詩織みたいに、 国際的に評価される日本人のことが大嫌いですよね。 戦時体制になると、 「愛国」とか「治安維持」の名のものとに、 普段から気に入らない人間たちを、 ここぞとばかりに密告しまくって逮捕させるという、 まさにネトウヨ天国みたいな社会になります。 それが戦争の現実だろうと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.10.07 09:20:05
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