カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
プレバト俳句。お題は「ケーキ」。
今回も「異議あり!」ってほどのことじゃないけど、 個人的な感想です。 ◇ まずは名人2人から。 梅沢は掲載決定。 夏立ちぬ バタークリーム強情で 千原ジュニアは1ランク昇格。 とぅるとぅるの求肥に透けている苺 ジュニアのほうは、 求肥のなかの「苺」だけを描写した一物仕立て。 梅沢の句は、 時候の季語と取り合わせていて一物仕立てではないけれど、 やはり「バタークリーム」だけを描写した句。 わたしなら、 両方ともボツにしていたかもしれません…。 ◇ 一物仕立ては、 描写の仕方に個性や詩情があるのかどうか、 そのセンスが問われるものだと思います。 梅沢の場合は、 「強情」というバタークリームの擬人化描写に、 個性や詩情が見出せるのかどうか。 ジュニアの場合は、 求肥と苺のコントラストを感じることもできるけど、 何より「とぅるとぅる」という擬態語の描写に、 個性や詩情が見出せるのかどうか。 最初に読んだときはボツかと思ったけど… あらためて鑑賞してみると、 たしかに季節感もあるし、視覚的にも鮮やかだし、 詩情もあるような気がしてくる(笑)。 一物仕立てというのは、 作るのも難しいのだろうけど、 評価するのも難しいなあ、というのが正直な感想です。 ◇ 北乃きい。 ケーキ屋で浮かぶあの笑み 夏の宵 おみやげのケーキを選ぶ 夏の宵(添削後) 中七の「浮かぶあの笑み」は、 意味としては十分に伝わると思うのですけど、 頭に思い描いた映像は、 描写といっても心象の描写なので、 そこが俳句としては弱いところですよね。 ◇ ダイアン津田。 夏の夕 5色のケーキ持ち帰る ケーキ五色 家族五人の夏の夕(添削後) この添削で異論はないのですが、 わたしなりに、 父の手に五色のケーキ 夏の夕 としてみました。 ◇ ABC-Z塚田。 ホールケーキを籠に ギア上げ青嵐 ホールケーキ籠に ギア上げ青嵐(添削後) 後半の「ギア上げ青嵐」だけ読むと、 まるでジュニアの750cc(ナナハン)俳句? もしくは石原裕次郎とか近藤真彦っぽいテイスト? まあ、バイクじゃなくて自転車ですけど(笑)。 若々しくて清々しい場面ですが、 「上五の字余り」と「句またがり」が重なった場合、 リズムとしてどうなのかが、やや気になりました。 あらためて見直したら、 明確な「切れ」がない句なので、句またがりかどうか不明です。 ◇ かたせ梨乃。 紫陽花の女子会 今日はバスチーを 紫陽花が綺麗ね 今日はバスチーを(添削後) 季語に比重を取りもどすために、 「女子会」の語を捨てた添削の意図は、 それなりに理解できるのだけど、 わたし個人の感覚でいえば、 「女子会」と「バスチー」の2語は、 絶妙な"軽薄さ"において響き合っているのです。 それに対して、添削のほうは、 「綺麗ね」と話す女性の優雅さ・上品さと、 「バスチー」という流行語・省略語の軽薄さが、 いまひとつ噛み合っていない気がします。 ◇ 今週は、 IKKOの句が絶賛されていました。 住み込みの 夜のケーキの苺かな 詠嘆の「かな」は、 安易に字数あわせのために使うと、 非常につまらないものになるけれど、 この句の「かな」は、久々に手応えをおぼえました。 住み込みでの仕事を終えて、 夜の一人の部屋で、 ケーキを出して、 そのうえの一粒の苺にまで焦点を絞ったところで、 作者の心情をしみじみと込めた感じです。 仕事の疲れや、 孤独やら不安やらを帳消しにするような、 楽しみと癒しを一粒の苺に集約したところで、 この「かな」の詠嘆が効いていると思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.02.03 04:07:54
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