カテゴリ:アストリッドとラファエルの背景を考察。
またも周回おくれですが、
「アストリッドとラファエル4~文書係の事件録」 第5話の《盤上の殺意》を見ました。 今回は、犯人のチェスおたくっぷりが炸裂! アストリッドがチェス対決で自白させた結末もお洒落だった。 ◇ わたしはチェスができないし、 小ネタの多くもチンプンカンプンだったけど、 チェス好きにはたまらない内容だったかも。 いちおう、わたしなりに、 ドラマに出てきたチェスネタを調べてみました。 ほとんどはニコラが話してたネタです。 1.ロシアの「ルーク」は舟。 チェスの「ルーク」という駒は、 塔や城塞みたいな形をしてますが、 ロシアでは「ラディヤ=船」と呼ぶらしい。 チェス駒の概念は国や地域で異なるのですね。 これは「ルーク」だけの話じゃない。 もともと、 古代インドのチャトランガという盤ゲームが、 ペルシャでシャトランジになり、 中国でシャンチーになり、 日本で将棋になり、 ヨーロッパでチェスに変わったとのことで、 その結果、 チャトランガの「ラタ=戦車」が、 将棋では「香車」や「飛車」に変わったのだけど、 これがチェスでは「塔」や「船」に変わってる。 その経緯や理由は謎です。 ◇ …ちなみにロシアといえば、 今回のドラマには、 「ロシアン・ザグレブが制作したチェス駒」が出てきて、 これが事件解決の糸口になってましたね。 きっと職人の手彫りによる高級品なのでしょうが、 ネットで調べても詳しいことは分かりませんでした。 日本でいったら、天童市の将棋の駒みたいな感じ? 2.チェスとフリーメイソンの関係。 これもよく分からないけど、 たぶん「テンプル騎士団のチェス」のことだと思う。 …といっても、 ▽Wikipediaに画像が掲載されてるだけで、 https://ja.wikipedia.org/wiki/チェスの歴史 それ以上の情報はネットを調べても出てこない。 他方、 「十字軍とサラセン人のチェス」を描いた絵も、 ネット上にたくさん出てきます。 つまり、チェスは、 ヨーロッパ人とアラブ人の共通の遊びだった? それとも、チェスの伝播が十字軍遠征に関連してる? 3.宇宙論の「クイーン」は変わりゆく魂。 この話もよく分からなかったのですが、 ちょっと気になったのは、 甚野尚志の『中世ヨーロッパの社会観』という本です。 1992年の『隠喩のなかの中世』を改題・文庫化したもので、 もともとの単行本の内容紹介には、 蜜蜂・人体・建築・チェス盤のなかに、宇宙の神的な秩序や社会の理想的なあり方を見出した中世ヨーロッパの人々の世界観を再現する。と書かれてます。 中世ヨーロッパには、 チェスに見立てた宇宙論があったのかもしれません。 4.宰相シッサの米粒の説話。 この話はネットでも確認できます。 米粒じゃなくて麦粒になってる場合が多いけど。 英語のWikipediaにも詳細な記事が載ってます。 https://en.wikipedia.org/wiki/Sissa_(mythical_brahmin) https://en.wikipedia.org/wiki/Wheat_and_chessboard_problem いわく、インドの宰相シッサは、 チェスを発明した褒美として何を望むのか王に問われ、 > チェス盤の1マス目に1粒、 > 2マス目に2粒、3マス目に4粒、4マス目に8粒、 > …とマス目ごとに粒の数を倍にして、 > 最後の64マス目に置かれた小麦の粒が欲しい と言ったのですね。これは2の63乗になる。 似たようなものとしては、 日本の曽呂利新左衛門の説話があって、 彼は、豊臣秀吉から褒美を問われた際に、 > 1日ずつ米粒を倍にした100日目の米粒が欲しい と言ったそうです。これは2の99乗になる。 ◇ これは要するに指数関数の話で、 > 折り紙を26回折ったら富士山より高くなる ってのと同じようなことです。 2の26乗は、67,108,864。 2の63乗は、9,223,372,036,854,775,808。 2の99乗は、633,825,300,114,114,700,748,351,602,688。 https://ja.wikipedia.org/wiki/2%E3%81%AE%E5%86%AA なお、 曽呂利新左衛門は秀吉に仕えたお伽衆で、 落語の始祖ともいわれてますが、 実在した人物かどうかは不明だそうです。 インドの宰相シッサも、おなじく伝説上の人物です。 5.囲碁の打ち手とチェスの打ち手。 アストリッドは、 テツオとの囲碁練習が功を奏して、 犯人とのチェス対決にも動じませんでした。 これって、ある意味、 チェスに対する囲碁の優位性を示してる気もする。 実際のところ、 囲碁の打ち手(局面数)はチェスよりはるかに多く、 チェスが10の120乗、囲碁は10の360乗だそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.03.14 20:01:59
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