カテゴリ:漫画・アニメ
放送からだいぶ経ちましたが、
Eテレで映画「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」を見ました。 日本が舞台になってますが、作ったのはアメリカ人。 日本文化のモチーフがいろいろ散りばめられてる。 ◇ 以下は、Wikipediaの解説。 封建時代の日本を舞台に、左目を盗まれ、魔法の三味線を操る主人公のクボを中心に展開する。クボは擬人化されたニホンザルとクワガタムシを仲間に、邪悪な叔母そして左目を奪った祖父のライデン(月の帝)を倒す宿命を課せられる。 三味線や雪山の猿が出てきたり、 盆踊りや灯篭流しの場面もあるので、 近世の青森や秋田の白神山地あたりが舞台? …かとも思いました。 なお、 灯篭流しの起源は「水灯会すいとうえ」で、 江戸時代に京都・宇治の万福寺などで行われていたようです。 水灯会は、七月十六日の夕、川や湖に火をともした紙灯籠を流すこと。盂蘭盆会の川施餓鬼の行事の一種。 水死人の霊を弔うために川岸や舟の上で行う施餓鬼供養は「川施餓鬼」といい、夏の時期に川で行なわれる。 ◇ その一方、 母が「月の帝の娘」という設定は、 平安時代の竹取物語/かぐや姫っぽくもある。 また、 かりに「KUBO」が公方のことなら、 それはおもに足利一族の称号だろうと思えます。 もともとは天皇や将軍の意味ですが、 いずれにしても支配階級の物語ってことになる。 公方は「公家の方」の略で、もとは朝廷、武家時代には将軍をさした。「おおやけかた」とも読む。鎌倉末期ごろから将軍の尊称となる。 室町時代の後半には、将軍の公権力の代行者として君臨した足利将軍家の一族の者の肩書きとして用いられた。3代将軍義満以降、将軍の敬称として公方号が積極的に称されることとなった。当初、関東管領として鎌倉府に在った足利基氏も、将軍家が公方を称するようになると鎌倉公方と称するようになった。以降、幕府の主宰者たる将軍や、鎌倉公方を称した関東足利氏一族により、公方号が世襲されることとなる。鎌倉公方はさらに古河公方、堀越公方両家に分裂し、古河公方はさらに小弓公方と分裂する。 実際、 月の帝になってしまった祖父は、 かつて地方豪族みたいな城主だったと思わせる描写があります。 ◇ 大魔神みたいな埴輪型の巨石仏像がたくさん立ってたり、 三種の武具を探す物語になってたり、 白鷺が魂を運ぶ話が出てくるところを見ると、 古代のヤマトタケルの東征神話が基礎になってる気もする。 すなわち、 > 草薙の剣で東国征伐に来たヤマトタケルの長女が、 > 敵側である地元の武将と結婚してしまった みたいな話っぽく見えます。 「日本書紀」などによると、日本武尊ヤマトタケルは東国での戦いの帰り道、伊勢の能褒野のぼのの地で亡くなりますが、その姿を白鳥に変え、大和の琴弾原ことひきのはらに降り立ったあと、河内の旧市邑ふるいちのむらに飛来したといわれています。日本武尊が没した場所(三重県亀山市)、白鳥が一旦舞い降りた場所(奈良県御所市)、最後に降り立った場所(大阪府羽曳野市)のそれぞれにお墓が造られ、合わせて「白鳥三陵」と呼ばれています。 そのほか、 河合豊彰みたいに「折り紙に魂が宿る」 ゲゲゲの鬼太郎みたいに「左目を奪われた少年」 細長い湖に棲む「目玉の妖怪」 なにかの漫画で見たような「おばさん仮面」 歌川国芳に由来する「がしゃどくろ」 …などのモチーフが脈絡なく並びます。 ◇ ところが、公式サイトによると、 主人公の「クボ」は、今作のキャラクターデザイナーであるシャノン・ティンドルの日本の友人の名前から取った。クボの眼帯は、封建時代の伝説的な武士であった片目の伊達政宗と、徳川幕府に仕えた剣の名士、柳生十兵衛三厳に敬意を表したものである。 つまり、クボは「公方」のことじゃないらしい。 ちなみに「七人の侍」の三船敏郎の役名は菊千代。 父の名の「ハンゾウ」は、 服部半蔵(服部正成)あたりから取ってるだろうけど、 祖父の名の「ライデン」は、 相撲力士の雷電爲右エ門から取ってるでしょうか。 母の名の「サリアツ」ってのもネタ元が分かりません。 男性名なら「サネアツ」から来てる可能性もあるけど。 闇の姉妹(おばさん仮面)が烏&鷲なのも謎です。 それ以外にも、 ゴキブリが鎧兜をかぶったら「クワガタ」になるとか、 人面魚みたいな「鯉」が龍になる…みたいなイメージが、 どれだけ日本の歴史や習俗に取材してるのかは怪しい。 ◇ 三味線の3本の弦は、 父と母と息子の比喩のようですが、 最後は、 その三味線をギターに置き換えるごとく、 レジーナ・スペクター or 吉田兄弟が、 ビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」をカバーしてる。 なお、ジョージ・ハリスンは、 もともと中国の「易経」に触発されてこれを作ったそうです。 ハリスンは、イングランド北部のウォーリントンにある母親の家で「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」を書いた。本作は中国の易経の書籍に触発されて書かれており、ハリスンは「僕は易経の写しを持っていた。中国にはすべてが必然であり、偶然というものは存在しないという考えがある。一方、西洋では偶然のことをまれにあるものだと考えられている。本を開いたときに見えたのが『gently weeps(そっと泣いている)』だった。僕は本を閉じて、曲を書き始めた」と語っている。歌詞は、そこに眠っている愛がありながらも、それに気づけていない人類の哀歌となっている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.17 17:19:16
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