カテゴリ:プレバト俳句を添削ごと査定?!
風爽か豚骨臭のシーン8 綿あめや葉月のかかと浮かせたる 秋時雨運ぶ弁当台無しに 前のスリム新米小盛り真似てみる 食の秋ケータリングで2キロ増え ゾンビらに取っておく差し入れの桃 ロケ終盤夜食に並ぶ研修医
9月6日のプレバト俳句。 お題は「ケータリング」。 そもそも「ケータリング」って何?? 番組の説明によれば、 撮影現場でおなじみケータリング!温かい麺類や惣菜など、とにかくテンションが上がるスペース!…だそうですが、 テレビ界の人間に「撮影現場でおなじみ!」などと言われても、 一般の視聴者にはなじみがありませんよね。 ケータリングは、 英語「cater」(料理を調達する/賄う/提供する)の動名詞。 辞書によれば、 料理を家庭に配達すること。また、パーティーやイベントなどに出張し、客の要望に応じて料理を提供するほか、会場の設営・演出なども引き受けるサービス。 Wikipediaによれば、 《仕出し業との違い》 企業サイトによれば、 「ケータリング」とは、一般的に指定会場のテーブルセッティングから後片付けまでを担い、サービススタッフが常駐して、一番おいしい状態で料理を提供してくれるサービスのこと。「デリバリー」は、宅配や出前のように、料理のお届けのみを指す場合が多いようです。…だそうです。 ◇ 大友花恋。 風爽か 豚骨臭のシーン8はち 作者によれば、 撮影の休憩中にラーメンを食べたとの話。 しかし、字面からは、 むしろ「ラーメン屋のシーン」と読めます。 そして、 季語の「風爽か」と、 脂ぎった「豚骨臭」との取り合わせ。 滑稽句としてはユニークとも言えるけど、 季語が台無しと思えなくもない。 語順を入れ替えて、 風爽か シーン8エイトの豚骨臭 と二句一章の距離感を使う手もあります。 ◇ 星野真里。 綿あめや 葉月のかかと浮かせたる ケータリングの端に綿あめある葉月(添削後) 詩情がありますね。 中七「葉月のかかと」の表現も面白い。 ふつうなら、 綿あめに葉月のかかと浮かせたり と書くところですが、 季語でない上五を「や」で詠嘆し、 下五を連体形で止めたのが、 ややイレギュラーな形です。 下五の連体形については、 名詞を省略する効果があると思うけど、 上五で切る必然性はないので、 綿あめに葉月のかかと浮かせたる と書くのが正解じゃないかしら? ◇ 城田優。 秋時雨 運ぶ弁当台無しに 弁当を運ぶ自転車 秋時雨(添削後) 弁当を落としてしまった場面だそうです。 上五で切れるのかが分かりにくく、 「秋時雨を運んでくる弁当」とも読めてしまう。 下五の「台無しに」も散文的な印象。 先生は、 「落としたかどうかは読み手に想像させればよい」 と言ってしまたが、 添削句を読んで、 そこまで想像する人はいないと思います…。 ためしに、 配達が落とした弁当 秋時雨 としてみました。 ◇ 藤井隆。 前のスリム 新米小盛り真似てみる 細身なる人真似新米を小盛り(添削後) 以前は良い句も詠んでたのに、 何故か、だんだん下手になってるよね…(^^; 三段切れにも四段切れにも見えるし、 内容的にも意味不明。 作者の話によれば、 > 「前」に並んでいた「スリム」な人が > 「新米」ごはんの「小盛り」を注文していたので「真似た」 とのことですが、 これを17音に収めるのは無理なのでは? 作者が「真似た」という情報も、 描写というよりは説明というべきだし、 それこそ、 「真似たかどうかは読者に想像させればよい」 と思います。 せいぜい、 新米の小盛りを頼む痩せた人 と書くのが精一杯じゃないかしら。 ◇ 熊谷真実。 食の秋 ケータリングで2キロ増え 楽屋への差し入れ多し 食の秋(添削後) 内容が川柳じみてますが、 意味が分かるぶんだけ藤井隆よりマシかな。 添削のほうは、 描写的に直したのはいいとしても、 季語が近すぎるのは改めるべきですね。 ◇ フルポン村上。 ゾンビらに取っておく差し入れの桃 差し入れの桃 ゾンビらにニ十切れ(添削後) ボツでしたが… けっして悪くない出来だと思う。 後半の「差し入れ」で、 ゾンビの正体が分かる仕組みですね。 映画かもしれないし、 お化け屋敷かもしれないし、 仮装パレードかもしれませんが。 先生は「取っておく」の叙述が雑だと批判。 しかし、 添削のように桃だけを描写するのでなく、 ゾンビを演じてる人たちのために、 それを「取っておく」気持ちが大事なので、 その行動描写を雑だとは切り捨てられない。 強いて欠点があるとすれば、 「取る」「置く」「差す」「入れる」 と動詞が続くところですが、 「取っておく」が複合動詞で、 「差し入れ」が名詞なのは明瞭だし、 誤読や混乱をまねくほどではありません。 ◇ 梅沢富美男。 ロケ終盤 夜食に並ぶ研修医 ロケの撮影は、 フィクションかノンフィクションかを問わないので、 フィクションなら「研修医役の俳優」であり、 ノンフィクションなら「本物の研修医」ってこと。 どちらにも解釈できます。 上五が季語ではないので、 やや状況説明っぽく見えるのが難点です。 ◇ 清水アナ。 今朝の秋 リハ後はコーヒー、メロンパン 内容はいいと思うけど、 形式面で問題になるとすれば、 助詞「は」と読点「、」の是非ですね。 前日までは冷たい飲み物だったのに、 今朝は暖かいコーヒーを飲んだのでしょう。 だとすれば、 助詞「は」を使う必然性はあります。 (わたしなら「の」を使いますが) 一方、読点「、」がないと、 見るからに三段切れっぽくなるし、 「コーヒー味のメロンパン」 みたいな誤解もされかねないので、 あえて読点を入れた必然性も理解できる。 もちろん一般論としては、 「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」 みたいに書いたりする必要はなく、 切れでないことが明らかなら、 読点は入れなくてよいと思います。 中七の「リハ」は、 リハーサルのことでしょうが、 リハビリと解釈するのも可能です。
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最終更新日
2024.09.09 16:12:45
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