カテゴリ:鬼滅の刃と日本の歴史。
もう先週のことですが、
めずらしく「チコちゃんに叱られる」を見ました。 ・ドラムの不思議 ・右利きと左利き ・お面のナゾ …の3本です。 いずれも興味をそそられるテーマ。 とくにお面の話は「鬼滅」にも関係する。 でも、この番組って、 しばしば《諸説あります》とテロップが出て、 (なんちゃってバラエティとはいえ) いまいち不確定で信憑性のあやしい話が多いのよね。 ・お祭りのお面について お祭り屋台で売られてるお面は、 徳川吉宗のころの花見に由来するだろう、 …との解説でした。 先日の歌川広重の番組でも、 https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/202407180000/ 御殿山の桜の話が出てきていた。 それは家綱の時代に植えられたのだけど、 花見ブームが起こったのは、 それより後の吉宗の時代だったようです。 御殿山には、寛文年間に植えられた桜があったが、火事による焼失もあったようで、吉宗が桜を植え復興している。幕府が進めてきた環境整備は、吉宗の代になって庶民に花見風俗をもたらした。江戸中期の享保年間のことである。あの有名な享保の改革は、幕府の緊縮財政下で庶民にも質素倹約を強い、派手なことは一切禁止のような禁令をこと細かに出した時代である。幕府は、人々の鬱積した感情を和らげ、桜を植えて広く一般に花見を楽しませたという見方もできそうだ。 ◇ 当時の花見では、 女性が男装して帯刀したりとか、 お面をつけて顔を隠したりとか、 身分をこえて、はっちゃけてたらしい。 ハロウィンのコスプレとか、 ベネチアのカーニバルっぽいことしてたのねえ。 …そういえば、 去年の大河「どうする家康」でも、 浄土真宗の寺内に集まった人たちが、 身分を隠して踊ったりしてた。 日本各地の笠踊りなどを見ても、 顔を隠して踊る発想があるように思う。 ◇ やがて花見客のために、 目鬘めかつらが売られはじめる。 目鬘というのは、 鼻メガネみたいに顔の上半分を隠すアイマスクで、 別名「百まなこ」とも呼ばれるそうです。 百まなことは、江戸時代のパーティーグッズの一種。目鬘めかつらとも呼ばれた。両目を覆うほどの横長の紙に、福笑いのようなおかしな表情の目と眉が描いてあり、目の部分は穴が開いていて前が見えるようになっている。行商人の『百まなこ売り』によっていろんなバージョンの百まなこが売られたのである。
これはほとんど仮面舞踏会/マスカレードですね。 Carney なお、目鬘は、 福岡の二〇加煎餅にわかせんぺいに似てますが、 その由来は、 江戸時代の郷土芸能「博多仁和加」のお面だそうです。 博多仁和加:「にわか」とは「にわか狂言」を略した言葉であり、祭礼において種々趣向をこらした出し物が演劇化した即興の笑劇であり、18世紀半ばの江戸時代中期から大阪・京都・江戸で流行し、全国各地に伝播したと考えられている。現在博多仁和加で用いられる半面については佐渡の年中行事絵巻(文化13年写/1830)やその他の祭礼図にも見られ、目鬘めがつらと呼ばれていたことが知られる。 ◇ お面の文化そのものは、 大陸由来の「散楽」や「猿楽」から、 やがて「能楽」へと伝わったものの、 それは上流階級の文化なので、 一般庶民には無関係だったとのこと。 ちなみに「能楽」の起源は、 散楽や猿楽だけでなく、 それよりも古い「伎楽」とか、 日本発祥の「白拍子」や「田楽」ともいわれます。 7世紀頃になると、日本最古の舞台芸能といわれている「伎楽」が、「伎楽面」とともに中国から伝来。その半世紀後、平安時代には「舞楽」や「田楽」などの芸能が広まり、室町時代に入ると「能楽」によって「能面」が定着します。 ◇ ただし! 神楽かぐらの話が出なかったのは不可解ですね。 神社のお祭りなら、 花見よりも、むしろ神楽にこそ関係があるはずでは? お祭りで売られてるお面も、 神楽に由来すると考えるほうが自然じゃないかしら? 宮中において限られた人々のみで継承されている御神楽に対して、巫女・神主・山伏といった宗教者や、民間の人々によって広く伝えられてきたのが里神楽です。現在でも全国に多くの里神楽が継承されていますが、いつごろから民間で神楽が行われるようになったのか、その起源ははっきりしていないようです。 神楽面は神楽に用いられる面で、地方に伝わる里神楽で使用する。宮中の御神楽では用いない。神の降臨を仰ぎ行う部分に、猿楽・田楽や近世に能・狂言の仮面の影響で製作された面を用いた舞が行われる。これらと違い、島根県の柳神楽や、宮崎県の高千穂神楽では鬼面が使用されている。般若面、天狗面、鍾馗面、蛇頭面、おかめ面、ひょっとこ面、王鼻面、狐面、鬼面などがある。 なお、 おふく面やおかめ面については、 Wikipediaに以下のように書かれてます。 室町時代にはすでに出現していた大道芸、新春の予祝芸能を行う門付芸「大黒舞」で、大黒天を中心に、えびすの面を覆った人物とともに、同様に覆面で連れ立って現れたキャラクターである。「おふく」という名称は、とくに江戸時代初期に大坂で生まれた文楽で使用されるもので、文楽人形の首かしらの一つの名称でもある。「おかめ」という名称は、それらに比較して時代は新しく、とくに近世の江戸の里神楽で使用されるものである。 秋田のナマハゲなどのお面も、 わたしは神楽に関係してるだろうと思う。 ・利き手の謎について 右利きと左利きの話も、 なんだか眉唾じみてました。 この種の医学的な話って、つねにそうなのよね…。 病気や健康にかんする話もあやしげなことが多い。 番組では、 「左脳が発達してるから右利きが多い」と言ってたけど、 わたしにいわせれば、 「右手を使うからこそ左脳が発達する」のだろうから、 原因と結果を取り違えてるように感じます。 すくなくとも、 たがいにフィードバックしあう関係ならば、 鶏が先なのか卵が先なのか分からないはず。 ◇ それから、 「利き手があれば生存に有利」という話も、 ちょっと胡散臭いと感じました。 たぶん動物の場合は、 積極的な理由で利き手があるのじゃなく、 なんらかの消極的な理由で、 仕方なく利き手のほうに偏るんだと思う。 一方、 人間に右利きが多いのは、 あきらかに言語活動の影響なのですが、 「なぜ言語活動は左脳に結びつくのか」 を説明できなければ意味がありません。 そして、その場合の言語活動は、 おそらく書き言葉ではなく話し言葉の活動です。 ◇ 右脳と左脳の機能に違いがあるとすれば、 それは脳自体に由来するものではなく、 おそらく支配領域に由来するものだと思う。 つまり、 左寄りに心臓があり、 右寄りに肝臓があることが、 脳機能の左右差をつくってる…ってこと。 心臓は昼間によくはたらくから、 右脳は活動的な機能を司るのだろうし、 肝臓は寝てるときにはたらくから、 左脳は活動に対して抑制的になるのでしょう。 そして、左脳を使う言語は、 身体の活動に対して抑制的であり、 寝るときの活動に近いってことだろうと思う。 ◇ 番組では、 「利き手は遺伝よりも環境で決まる」と言ってたけど、 その一方で、 「幼いころに利き手を矯正するのはトラウマになる」 というのは、あまりに話が矛盾してます。 それは結局、 後天的に利き手を決めるよりも、 遺伝に逆らわないほうがいいってことでしょ? さらに、 「左利きに天才が多いのは右脳も左脳もよく使うから」 という話も嘘くさいのですが… ※わたしは別の理由があると思う まあ、 後天的に利き手と逆の手を訓練すれば、 たしかに両方の脳が活性化するでしょうね。 それについては、 ZAZYが1カ月の実験をやるらしいので、 その結果を待ちたいと思います。 ・ドラムセットの歴史について ドラムセットの歴史の話は、 おおむね正確だったように思います。 ニューオーリンズの、 Edward “Dee Dee” Chandlerという小太鼓奏者が、 大太鼓奏者と喧嘩したために、 小太鼓と大太鼓をひとりで演奏する羽目になり、 足のペダルを開発したのが発端なのですね。 番組では、 何のジャンルの楽団かに言及しなかったけど、 調べてみたら、やっぱりジャズのようです。 https://culturalhistoryofthedrumset.wordpress.com/new-orleans/the-drummers/ たしかに、 ひとりで複数楽器を兼任するほうが人件費が浮く。 クラシックの場合も、 複数の打楽器をひとりで担当することが多い。 でも、楽器自体がセットにはなってません。 そこらへんは、 ポップスとクラシックで事情が違うんだろうと思う。
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最終更新日
2024.09.23 18:40:43
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