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まいかのあーだこーだ

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2024.11.11
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良夜なりフロアを包むアルペジオ 万人の歌声ひとつ名残の月 秋風や歓び舞台へ運びゆく ゆれすすきいつかはフェスと夢見る日 ペンライト振れども散らぬ照紅葉 星月夜六万人の大合唱 靴音にライブの余韻月の坂 行く秋や全国大会入賞
11月7日のプレバト俳句。
お題は「大観衆」。



フルポン村上。
靴音にライブの余韻 月の坂
靴音に余韻 ライブの果てて月
(添削後)

原句のままで十分に素晴らしい出来です。

音楽と熱狂に包まれたあとの興奮の余韻。
それと同時に…
ライブが終わってしまった静けさと寂しさ。
そして、秋の夜の肌寒さ。
耳には坂道の自分の靴音だけが聞こえてる。

ひさびさの村上のヒット作かと思いましたが…
なぜか先生は「散文的」との理由でボツ。

しかし、
これを「散文的」と言ってしまったら、
ムダに技巧的な句しか詠めなくなりそうです。

添削は二句一章になってますが、
前段の「余韻」と後段の「ライブの果てて」に、
因果関係があると考えるべきか、
それとも、そこに因果関係はなく、
靴音そのものが反響して余韻を生んでるのか、
読み手は解釈に迷うはずです。



キスマイ横尾。
星月夜 六万人の大合唱


横尾にしては珍しい定型句。

掲載決定でしたが…
村上が「シンプルすぎる」と言ったように、
ちょっと素直すぎるんじゃないかしら?

季語の取り合わせとして、
「6万の大合唱」と「満天の星空」は、
印象が近すぎるといえなくもない。

まして先生がいうように、
「6万のペンライト」と「星月夜」の取り合わせ?
…なのだとすれば、
それは二物衝撃でなく、二物相似というべきです。

平場ならギリギリ「才能アリ」でもいいけれど、
永世名人の句としては不足がありすぎる。



清春。
良夜なり フロアを包むアルペジオ


奇しくも、
先週の相席スタート山﨑と同じく、
上五を「良夜なり」で切ってますね。

これこそがシンプルイズベスト。
先生が言ったように、
アルペジオの旋律が月光のイメージにも重なります。

強いて難癖をつけるとすれば、
「包む」「響く」などの動詞は不要かもしれない。
たとえば、
大都市の良夜 フロアのアルペジオ

のようにも出来ます。



MINMI。
万人の歌声ひとつ 名残の月
万人の歌は一つに 月のぼる
(添削後)

原句は、
歌と心がひとつになったときに、
「この幸福な時間が終わってほしくない」
と名残惜しんでるように見えます。

添削句のほうは、
むしろその高揚感を詠んだ形ですね。



山口智充。
ゆれすすき いつかはフェスと夢見る日
いつか我が歌を大観衆へ 秋
(添削後)

自分の心情を季語に託してますが
大きな夢を抱いてるわりに、
季語が寒々と枯れてしまってるw

添削のほうは、
心情句だと割り切ったのか、
完全に描写性を喪失してますが…

たとえば、
麦の秋 フェスを夢見て弾き語り

ぐらいの描写性は込められるはずです。



清水アナ。
行く秋や 全国大会入賞


具体性がなさすぎますね。
何の大会だったんでしょうか?

もしも金賞を逃したと明記するなら、
季語をことさら悲しげにはせず、
金賞を逃した涙 稲の波

ぐらいの対比にすべきでしょうね。





ゴスペラーズ黒沢。
秋風や 歓び舞台へ運びゆく
歓びを舞台へ 金風の歌よ
(添削後)

原句は、
秋風が(観客の)歓びを舞台へ運んでいく
…という内容であり、
上五が主語で下五が述語の一句一章ですが、
主語を「や」の詠嘆で切ってます。

こういう句は時折見かけるのですが、
あまり適切な詠み方とは思いません。
形式が二句一章になってしまうからです。

一方、
添削句は観客視点の句になってますが…

原句のままの客観的な視点で、
金風が歓喜をはこぶ大舞台

のようにシンプルに書けると思います。



水森かおり。
ペンライト 振れども散らぬ照紅葉てりもみじ
ペンライトのごと 夜を照らさるる紅葉
(添削後)

原句は、
> 夜に揺れる無数のペンライトは
> 昼の太陽を浴びた照紅葉のようである。
> 昼の紅葉は振れば散ってしまうけど
> 夜のペンライトは振っても散ることがない。

…というような内容です。

季語が比喩になってるので、
添削ではその関係を逆転させ、
《照紅葉のようなペンライト》ではなく、
《ペンライトのような夜紅葉》の内容にし、
18音の破調の形に直してます。

しかし、この添削句は一読して分かりにくい。

第一の理由は、
「ペンライトのごと」という比喩が、
どの語に掛かるのか分かりにくいから。

第二の理由は、
(とくに「ペンライトのごと照らさるる」と誤読した場合)

照らすものと照らされるものの関係が入り混じって、
読み手を混乱させる比喩になるからです。

さらに付け加えると、
目的語に動詞の受動態をつけて、
「紅葉が夜を照らされる」とするような構文は、
通常の散文にはありえないので、
それもまた混乱の要因になりえる。

もっとシンプルに書くならば、
灯に揺れる紅葉ペンライトの如し

のように出来ます。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.11.11 13:29:46
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