「天国と地獄」と「白夜行」の構造を考察。
ともに罪を背負ってきた日高と朔也。彼らの関係は、「白夜行」でいうならば、雪穂と亮司の関係に似ています。そして、2人の罪を知る望月の立場は、「白夜行」でいえば、笹垣(武田鉄矢)の立場と同じです。これまでは、雪穂=望月、亮司=日高だと解釈していましたが、それは、おそらく違うのですよね。◇亮司は雪穂に、「あなたは俺の太陽だった」と言いました。日高と朔也こそが、文字どおり「太陽」と「新月」の関係にあり、彼らのあいだに立つ望月は、文字どおり「満月」の象徴なのですよね。◇当初、《天国》と《地獄》というのは、《望月》と《日高》の関係を意味している、と思われました。つまり、善と悪の対比を意味してるように見えた。しかし、そうじゃない。おそらく天国と地獄というのは、異なる運命をたどった《日高》と《朔也》の関係を意味している。つまり、それは幸福と不幸の対比なのです。◇「白夜行」の最終話、雪穂と亮司は、歩道橋のもとで別れました。そして「天国と地獄」の物語は、日高と朔也が歩道橋で別れたところから始まっている。おそらく森下佳子は、2人の運命に何らかの決着をつけようとしています。