ツール・ド・松阪ホルモン(後編その2)
松阪駅まで自転車で10分くらいの場所にあるスーパー銭湯「鈴の湯」を出て、駅に向かっていると、駅前通りに入ったところで交通規制が行われており、道路上に大勢の人があふれていました。いったい何だろうと思ったら、折しも松阪市では「松阪祇園まつり」の真っ最中。そんなこととは全然知らずに来たので、ちょっと得した気分でした。なかなか大阪人で「松阪祇園まつり」を見たことある人は少ないと思いますよ(わざわざ見に行くほどのものでもないし、って言ったら松阪の人に怒られるか)。祭りのおかげでちょっと回り道をさせられ、約束の3時には少し遅れてしまいましたが、無事に松阪駅で友人と落ち合うことができました。この友人(友人としか言いようがないのですが実は僕より12歳も年上です)、どうせなら昼前にでも松阪に来て、一人で市内観光でもすればいいのに、本当にただ焼き肉を食べるためだけに大阪から近鉄特急(往復5,260円)に乗ってやってきた、とても酔狂な人です。「それが大人の遊びやないかい」と笑っていましたが、朝の5時40分からわざわざ自転車で150km走って焼き肉を食べにきた僕と、この友人とでは、世間一般的に見てどっちの方がより酔狂な人なんでしょうね(笑)。まあきっと変わり者どうしなので、年が離れていてもウマが合うのでしょう。焼き肉を食べに行く前に自転車を駅近くの有料駐輪場に預け(管理人常駐、1日100円)、観光案内所で友人が以前行っておいしかったという焼肉屋「一升びん本店」の場所を聞き、15分くらい歩いて店に向かいます。この日の松阪の気温はなんと35度! 大阪より暑い中、自転車で150km走った後に15分歩くのはかなり応えました(笑)。店に着くとまだ3時半過ぎだというのに地元のお客さんですでに満員で、15分くらい立ったまま待たされました。松阪はそこらじゅう焼肉屋だらけですが、他の店の前を通った時は空いてそうだったので、この繁盛に期待がますます高まるというものです。で、結果はどうだったかというと、たしかにおいしい店ではありましたが、ひとつわかったのは、松阪の焼肉屋が松阪牛だけを使っているかというと全くそんなことはなくて、メニューに「松阪牛○○○○」と書いた高いやつだけが松阪牛で、その他は普通の「国産牛」みたいでした(笑)。締めに注文した「松阪牛特撰 2,300円」は、たった2切れ!(写真)。まあたしかに旨かったけどね…。5時過ぎに店を出て、しばらく駅前通りで「松阪祇園まつり」見物をしていると、一見、暴走族風の紫の衣装を着た一団による「松阪しょんがいソーラン(写真)」なる踊りが始まりました。友人も僕も「しょんがい」の意味が見当もつかなかったので、地元のおばちゃん達に「どういう意味ですか?」と聞くと、誰も知りませんでした(笑)。この「松阪しょんがいソーラン」にはまったく歴史や伝統を感じませんでしたが、これとは別に「松阪しょんがい音頭」というのがあるそうで、松阪の子供たちは小学校に入ったら必ず「松阪しょんがい音頭」の歌と踊りを習うのだとも、おばちゃんは言っていました。できればそっちの方が見たかったですが、きっともうこの先見る機会はないでしょう(笑)。駅まで戻り、喫茶店でコーヒーを飲んだ後、駐輪場から自転車を取ってきて、駅前で輪行袋に自転車を入れはじめると、友人も興味深そうに手伝ってくれました。いま僕が使っている輪行袋はタイオガのコクーン(下の写真)なんですけど、前輪しか外さないタイプなので、狭い近鉄特急の車内ではあまりお勧めはできませんね。友人と一緒じゃなかったら、時間はかかっても伊勢中川駅から近鉄大阪線の快速急行で帰っていたと思います。この日の帰りの近鉄特急は3連休のためか満席で、友人が輪行袋の置き場所などはまったく考えずに予約した席(自転車やらない人はそこまで思い至りませんよね)が、たまたま車両の最後列だったのはラッキーでした。長いコクーンを立てて(近鉄特急では立てないと無理)壁と座席の間にはさみ、リクライニングを倒して安定させました(写真)。終点の上本町で近鉄特急を降りると大阪は雨が降っていなかったので、上本町の駅前で自転車をコクーンから出し、前輪を装着して自宅に向けて再出発。そしたらすぐに雨が降ってきて、最後の最後に濡れてしまったのでした(笑)。まあ暑さには参ったけど、昼間降られなくて本当によかったなと思いながら、9時過ぎに自宅に帰りつきました。今回の松阪ツーリングは、猛暑の中の山岳コースで確かにしんどかったですが(でも秋にまた同じコースで行きたいなぁ)、つらい時にはずっと、敬愛するミュージシャンでありサイクリストである忌野清志郎さんの言葉が頭に浮かんでいました。「自転車はブルースだ。走る道すべてにブルースがあふれている。楽しくて、つらくて、かっこいい」---なんか上り坂で背中を後押ししてくれるような感じがしませんか?清志郎さんも癌の治療から復帰したら、また元気に自転車で旅を続けてほしいです。そして今回もまた、あらためて思いました、自転車最高! 愛してるぜベイビー!自転車ブログを探すならココがおすすめ!→