江東区は東京都の特別区である。
築地市場の豊洲への移転について、土壌の改善問題をたびたび都に対し要望してきた。
公選された区長だけでなく、江東区民の代弁者である区議会も議決してまで、要望してきた。
平成23年には、都の副知事が訪問し、江東区の要望を受け入れる旨の返事をしている。
しかし、昨年になって、なんら改善されていないことが明らかになり大問題となったのは周知の通りだ。
つまり、地元である特別区住民の意見や要望が、都にとって無視された悪例となってしまったのである。
しかも、公選の区長や区議会の決議も、都にとって、単なる飾り物であり聞き入れる義務も無い。
許認可権は都にあって、区に無い。
すなわち二重行政の解消によって、特別区の住民には、なんら権利が無くなったのである。
もし、東京市が残存していれば、江東区住民は市を通じて許認可の権限を行使できただろう。
現在の大正区住民においても、政令指定都市である大阪市を通じて、許認可の権利を行使できるため、府の施設といえど大阪市内であれば、土壌の改善無しの許可は絶対しないし、改善命令を発するなどで、対処できる。
それに対し特別区の住民は、住民に密接する区内の問題であっても、都の決定に対し口出しできず、
せっかく選挙で選んだ区長や区議会であっても、許認可権が無いため、住民の権利が守られない。
予算配分決定権など、最終的な権限のある都議会においても、東京では7割の議席を占める23区選出議員に対し、現大阪市内選出の議員は3割であるため、
現大阪市内住民の権利は、数の上でも無視されてしまう恐れがある。
すなわち、維新案の大阪市単独解消によるミニ大阪都案では現大阪市民の権利が奪われるだけであり、堺や東大阪市を説得して、議席配分を増やすか、特別区に対し都に対する一定の拒否権を与える事を明記するなど、特別区住民の権利が守られる都構想を望むものである。