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テーマ:絵になるベンチ(16)
カテゴリ:Bench press
ベンチのあるところと言われて真っ先に思いつくのが公園や駅ではないでしょうか。 そして誰しも、そんなベンチに何かしらの思い出をお持ちではないでしょうか? そんなベンチに何十年振りかに再会したら、その当時の思い出が昨日のことのように蘇ってきて、さぞや感動することでしょう。 私にもそんな思い出がいくつかありますが、残念ながらほとんど取り壊されてしまい、そんな感動的な再会は果たしておりません。 子どものころに住んでいた私鉄の駅のホームには長くて立派な木のベンチがありました。家族で東京へ出かける時、いつもそこに座って電車を待っていたものです。 ホームは何度か改修されてもそのベンチだけはなぜか残されていました。通勤でその電車を使うようになってからはそのベンチに座る余裕もなくなりましたが、それでも毎日その姿を眺めては心安らいでいたものです。 でも、15年くらい前だったか、複々線化されて駅が新しくなった時、ついにその古ぼけたベンチもなくなってしまいました……。 それから、しばらくたって、金沢に引っ越してきて、北陸鉄道という私鉄に乗って加賀一の宮へ行ったら、駅舎の中に、そんな思い出のベンチにどこか似ている古ぼけたベンチを発見しました。 どれだけの人が腰をかけたのでしょうか? ところどころすり減っていますが、鈍く輝く重厚感は思い出のベンチによく似ています。 しかもベンチに座って待っていると、ホームに滑り込んでくる電車は、なんと私が子どものころにあのベンチで待っていた電車と同じなのです。 偶然とはいえ、このベンチがまるでタイムマシンになったような錯覚に陥ります。 でも、そんな加賀一の宮駅も昨年廃止されてしまいました。 今も駅舎は残っているはずですが、あの電車はやってきません。そして、このベンチに座る人もいません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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