ここに陸終わり、海始まる
先日、ポルトガルに旅行に行ってきた。行きの飛行機の中、ポルトガル航空の機内誌を見て、高校のときの世界史の授業を思い出した。「ここに陸終わり、海始まる」ポルトガルの詩人カモンエスの一文。16世紀の世界はユーラシア大陸を中心に、「西」と「東」を考えている。機内誌の世界地図を見て、まさに、ポルトガルは当時の世界の果てだったんだ、と実感した。知識として分かっていることを「実感」として認識した瞬間だった。そして、その反対側にある国こそ、日本。当時のヨーロッパの人々は、東方にある今の中国で世界は終わりだと思っていたに違いない。その先にまだ国があるとは、露ほども思ってなかったのかもしれない。欧州の一国に暮らして、まず一番の驚きは国民の多様性だった。そのうちにこの多様性はスウェーデンのみならず全ヨーロッパにおいて言えることだと分かってきた。アメリカなんて、まさに多様性そのもの。先進国と言われる国の中でも、日本ほど一つの民族の割合が高い国も珍しいのではないだろうか?多様性の時代と言われる中、移民政策においては独自の路線を貫く日本。時代に逆行しているかもしれないが、その恩恵は計り知れない。スウェーデンでは小学校の1クラスの中で、スウェーデン語を母国語としてしゃべることができる子が3人しかいない、という話さえ聞いたことがある。教育一つとっても、難度は日本の比ではないだろう。ここまで独自性を出すなら、とことん貫くのも手じゃないか、とも思う。もちろん細部を見れば今の時代にはそぐわないものもあるだろうが、20年、30年後の日本を考えたとき、ヨーロッパのような多様性が解の一つとはどうしても思えない。地理だけでなく文化においても、欧州と日本の距離は遠い。だからこそお互いに良いところを取り入れつつ、独自性を保つことに価値があるんだ、と思う。