無敵とは?
疲れが溜まっていたので、鍼灸院に行く。当日だったのにS先生の予約が出来た。S先生がいつものように迎えてくれた。私が疲れているのがわかっているのか、無言でマッサージされる。きっと何も言わなくてもわかるんやろうなと思う。もう8年のつきあい。S先生は、私に会うたびに「自分を愛したらいいよ」みたいなことを言う。実は湯たんぽを抱きしめるという提案をしたのは彼だった。自分自身を腕で抱きしめてあげたらいいのだという。それと心臓をあたためたら、リラックスするらしい。S先生に不意に「ねえ、無敵な人ってどういう人だと思う?」と聞かれた。答えられないでいると、S先生がつづけた。「あのね、無敵なのは赤ちゃんなんだよ。無邪気でね。周りの人は、その人には腹が立たない。そのペースに乗せられてしまうんだ。我慢をするとか、上手に対応が出来る人じゃないんだよ」と言われた。「なんか、今日は硬い顔をしていたね。」「そうなんよ、上司とぶつかってしまってん」と答える。「私、まっすぐやから嘘がつけないし、直球やねん。」「そこがいいんだよ」私が欲しかった言葉だったらしく心の琴線にふれてしまった。無邪気なこと。S先生の言葉が繰り返し頭の中を回る。いつも私に必要なことを教えてくれる。私は体の疲れと心の疲れをとってもらっている。誰かの支えがなくてもひとりで笑いたいし、のびのびとしていたいな。それが無敵ということなら。面白いじゃないか。