|
カテゴリ:火取ゆき
10月7日11時半に空港までゆきさんを迎えに行く。
「編み込みの髪でギターを持ってるので分かると思います。」と言われていて、確かにギター持ってる人が同じ便に何人もいるはず無いと思っていたけど、ギターを持ってるごく普通の女性が居るのであれっと思ってると・・彼女は東京から付いていたゆきさんのファンの人で、彼女の後からカラードレッドヘアのゆきさんが現れた。 「その髪の毛、飛行機の中で浮いてませんでした?」と言うと、「これ飛行機の中で付けたので・・」と。 編み込んだ髪の毛の上に毛糸で作ったドレッドを付けてるみたいですね。 以前は全部自分の毛でやっていたけど、付けるのに数時間ほどくのにもっと長い時間がかかるので最近はこんな風にしているそうだ。 それにしても浮いていたに違いない。 予定通り彼女を讃岐うどんのお店に連れて行く。 何とこの店がセルフのうどん屋だった。 冷房無いし暑いし、丁度お昼時で超満員(徳島の有名店らしい)。 やっぱりうどん屋でもカラードレッドは浮いていた・・・ような気がする(笑)。 我が家に到着して控え室に案内。 控え室のドアには「ゆきさん」とミドリが書いたイラスト入りの張り紙が貼ってある。 これを見てにっこりほほえんだゆきさん。 初めての場所で初めて会う相手とのジョイントライブ。 緊張しているのがこちらにもひしひしと伝わってくる。 控え室から殆ど出ず、結局最後まで我が家のリビングの方にはやって来なかった。 勇造さん達が、リビングでバクバクと僕が作った豚汁と配偶者が作ったお握りでご飯を食べていたのと対照的。ゆきさんはライブ前は殆ど何も食べず飲まず・・だそうだ。 リハーサルが始まる。 ゆきさんが一番気にしていたのは、ギターのPAが普段やっているライン取りではなく、勇造さんと同じくマイク取りになったことだろう。真剣に音をチェックしている。 リハーサルの時には、黒いパンツの上に黒いTシャツを着て赤いベストとラフな格好。 勇造さんもゆきさんの事を気にかけているのが分かる。 ライブが始まっても、「最初はずっと近くで居るので機材の事で何かあれば声をかけてください」と。 これで少しずつは楽になるだろうな。 そして本番。 ゆきさんは、黒の襟にファーの付いたシックなワンピースで現れた。 恥ずかしそうに、ハスキーボイスで挨拶をする。 1曲目は「海みたいな空だ」これは友川かずきの曲だ。 そして、彼女がタイに歌いに行った時(このあたり、勇造さんとリンクしてる)に出来たと言う「アジア」という曲が2曲目。 タイの子供らしい子供達を見て帰り、日本の子供達の悲しい姿を見たときに出来たと言う「母なるものを遠く離れて」が3曲目だ。 サビの時にゆきさんの瞳に一瞬稲妻が光るのがわかる。 そしてその瞳は段々と潤んでいく。 この曲は彼女のサイトのディスコグラフィーのページでバックに流れている。聞いてみてね。 そして、さらにテンポを落としてアルペジオで歌われた「望郷」。 作者の小池真司氏によると、自分が追いつめられていた時に学友が自殺した。自分の代わりに死んだ・・と思ったときに出来た歌だそうだ。 ゆきさんは、友人が亡くなったときに遺言通りに歌で見送ってあげた事があるそうだ。 その時もこの歌だったんじゃないだろうかな・・。 そして、曲はアップテンポになり「真昼の星空」そして「ジャズが流れている」に続く。 この歌はまだアルバムには収録されていない。 激しいギターのストロークで歌われるがタイトル通りジャジーな雰囲気を持った曲である。 そして、三角みづきちゃんと言う若手の詩人(中原中也賞他、様々な詩の賞を受賞している人らしい)の詩に曲を付けた「新世界」。 この詩の世界は、はっきり言って一度聞いただけでは僕にはよく分からなかった。 歌の方は、スキャットが入ったりゆきさんのサイレンにも似た叫び声が入ったりしてかなり変化に富んでいたのじゃないかな。 そして、ワタシの歌はあと2曲ですと言いながら、僕の一番大好きな曲「祈り」。 ♪心を抱く腕があるなら ♪抱かせてやる心があるなら ♪泣きながら誰を許して来たんだ ♪もう人生しか残されているものはないよ ♪笑わずにいられなさみしさを ♪笑えない悲しみの腕で眠らせておくれ いつもこのサビのあたりでじ~んと来るんだよなあ・・。 (この歌も彼女のサイトの試聴のコーナーで聴けますよ) そしてラストは友川かずきの曲「空」。 「次は皆さんお待ちかねの豊田さんの歌です」と言いながら恥ずかしそうに舞台を去るゆきさん。 ちょっと待ってよ~アンコールもう1曲歌って頂戴よ~と言うのにお応えしてラストはやっぱり友川さんの「ワルツ」を唄ってくれる。 ♪生きても生きてもワルツ ♪死んでも死んでもワルツ ♪出会いも出会いもワルツ ♪別れも別れもワルツ ゆきさんが歌う友川さんの歌の中ではこの曲が一番好きだなあ。 比較的静かな曲でゆきさんのライブは終了。 僕はボクシングで言えば1ラウンドでゆきさんにKOされているので、あまり客観的に評価をするのは難しい。 観客の反応は様々だった。 重い・・ 怖い・・(これは中学生) 声が凄い・・ 歌が凄い・・ 独自の世界を持っている・・など。 この世界はダメ・・と言う人も居た。 今改めてこのライブで作ったDVDを見ながら思うことは、ちょいとギターが一本調子に聞こえるところがある。特にテンポの速い曲ではパターンがみんな似てるのね。 間奏やエンディングでギターを聞かせるところもあまりない。 まあ、彼女の場合ボーカルがメインなのでギターは歌伴で良いのかも知れないけど、やっぱりもう少し歌とギターに表情があった方が良いと思う。 勇造さんだって「歌はよくわからないけど、とにかくあのギターは凄い」と前によく言われていた。それだけ観客が入ってくる間口が広くなると言うことだ。 それから、1時間のライブの間にはもう少し喜怒哀楽の変化があっても良いかなと思った。 もう少し歌で笑ったり喜んだりする場面があっても良いかなと思ったのだ。 ゆきさん自体にも笑い顔があまり見れなかったしね(やっぱり、緊張?) まあ、観客の殆どがゆきさんのファンである場合と、今回のように勇造さんは知ってるけどゆきさんの事は知らない人が殆どの場合とは違ってくるのだろうけども。 そう言えば、打ち上げで勇造さんがゆきさんに「ブルーズを唄ってみたら」と勧めていた。 僕はもうちょっとシャンソンとかヨーロッパ的なものでも良いんじゃないか、マリアンヌフェイスフルとか・・と言ったんだけど、会場で買ったゆきさんのライブDVDを見たら彼女がマリアンヌの「ストレンジウェザー」を唄っていてびっくりしたのだった。 「ケサラ」なんかどうなんだろうね。似合うと思うけど。 今回のライブは、いつもの伴奏陣(普段はドラムス~パーカッションとのデュオ、もしくはそれに小池真司さんのリードギターを加えたユニットで演奏している事が多い)も居ないし、PAも違うし、会場のファンは勇造さんのファンが殆どだし、ゆきさんにとっては完全アウェーのような状態でしんどかったかも知れない。 打ち上げの頃になって、ゆきさんもかなりほぐれて来て笑顔がよく見えるようになった。 よく飲んでよく食べていた。 翌日、大阪でのライブへ向かうゆきさんを、勇造さん達がまだ寝ていたので家族全員で出かける訳にもいかず、僕とミドリとカズでお見送り。 ミドリを抱きしめて「また渋谷へ遊びにおいでよ」と言ってくれて、バスが動き出した後も立ち上がっていつまでも手を振ってくれたゆきさん。 この頃になって、やっと会えたなあと言う実感が沸いてきたのだった。 会場で彼女のライブDVDが売られていたのを買った。 これは彼女がマンスリーでやっているホームグラウンドのアピアでの2000年のライブから選りすぐって集めた映像だ。その名も「火取ゆきを愛する者達へ」。 パーカッションの石塚さん、ギターの小池さんを従えたゆきさんは水を得た魚だった。 モノクロに近い映像が恐ろしく美しい。そして力強い。 この頃はまだ髪の毛を直接編み込んでいたみたいだ。 そして彼女の瞳の濡れ具合は半端じゃない。 みんなこの瞳に引き込まれていくのだろう。 渋谷アピアで唄うゆきさんを見てみたいと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[火取ゆき] カテゴリの最新記事
|
|