2699046 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

見たまま、感じたまま、思ったまま

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

Dr.悠々

Dr.悠々

Calendar

Recent Posts

Freepage List

この歌が好きだ!


月の祭り


グッドバイ


て~げ~


de RACINES


エアジン・ラプソディ


都市生活者の夜


このマンガが好きだ!


自虐の詩


私が選んだマンガ20


博多っ子純情


我が指のオーケストラ


ぼくんち


家栽の人


子連れ狼


龍(RON)


狂四郎2030


大好きな豊田勇造さん


(1)行方不知


(2)大文字


(3)夜を重ねて


(4)背中


(5)雲遊天下


(6)ギターが友達


2003年ライブ前


(7)うさぎ


2003年勇造ライブ開始


2003年ライブ第1部


2003年ライブ第2部


仕事のデッサン


2004年ライブ


勇造ライブ2006年


勇造ライブ2005年


私の音楽遍歴(その1


その(2)中学時代


その(3)高校時代


その(4)大学生時代


(その5)その後~現


ある開業医のつぶやき


服を脱がない人たち


お金を払ってくれない


時間外に来る人達


点滴をしたがる人達


このドラマ、映画が好


(1)男たちの旅路


蝉の脱皮


日記自薦集(1)


日記自薦集(2)


お気に入りのレコジャ


子供の病気のお話


(1)インフルエンザワクチン(2003年)


(2)嘔吐下痢症


突発性発疹とリンゴ病


麻疹と風疹


喘息について


手足口病、ヘルパンギーナ、プール熱


インフルエンザ(2004年)


ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)


医者の心得集425より


悠々先生の音楽夜話(日記より)


この映画が好きだ!


TATTOO(刺青)あり


鬼畜


祭りの準備


私のLASIK体験記


LASIK術前検査


LASIK本番


心に残る日記・お友達編


リレー日記「心の帰れる場所」


Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

beer@ Re:発泡酒は嫌いだ(06/20) 嫌いです。変なの開発したのはビールに対…
のどまる。@ Re:映画ドライブマイカーを見た(03/25) 本は いつか映画を見るまでに と 何度か…
Dr.悠々@ Re[1]:セロリが好きだ(05/05) のどまる。さんへ え?葉っぱの方が食べや…
のどまる。@ Re:セロリが好きだ(05/05) セロリ  大好物です。 香りも しゃくし…
Dr.悠々@ Re[1]:セロリが好きだ(05/05) かやねずみの家さんへ 佃煮かあ、今度試…
かやねずみの家@ Re:セロリが好きだ(05/05) パリッパリのセロリ美味しそうです! こん…
Dr.悠々@ Re[1]:青春の行方(04/19) ミドリツブコさんへ この茶店は、1日中薄…
Dr.悠々@ Re[1]:青春の行方(04/19) のどまる。さんへ のどまるさんらしいコメ…
ミドリツブコ@ Re:青春の行方(04/19) 映画のひとこまのような。 この店で小編…
のどまる。@ Re:青春の行方(04/19) 思い出のレコードを聴きに 珈琲を飲みに通…
2007.10.31
XML
夏頃からずっと低空飛行を続けていたお爺さんが今日の夕方亡くなった。
この2日ぐらいまた熱が出て胸がゴロゴロ言って、今朝診に行った時にはひどい喘鳴で、ああもうこれはいかんなあと思っていた。

お婆さんは倉庫のようなところに入っていたので、何をしてるん?と聞いたら、いざと言うときに何処に何があるかわからなかったらあかんからと言うので整理をしていると言うことだった。
ああ、お婆さんもやっぱり解っているのだなと思った。

この90歳を越えたお爺さんを看病しているのは80後半の腰の曲がったお婆さんで、誰にも触らせずにひとりで世話をしていた。入院させたらと言う家族の勧めは、爺さんが入院したがっていないから家で死んでもかまわないと、布団じゃなくてベッドにしたらと言う訪問看護婦の勧めは自分が腰が曲がっているのでこっちの方がやりやすいからと断っていた。

隣に住んでいるこれも独り暮らしの初老のおばさんは、数年前にご主人を癌で亡くしてからご主人の故郷の徳島でずっと独り暮らしをしていたけど、この老夫婦の事を心配して時々覗きに来ていたらしい。お婆さんが爺さんの様子がおかしいとこのおばさんを呼びに行き彼女が電話をかけてきた。

家に行くとまだ体は温かかったけど呼吸も心臓も停止していた。
心臓マッサージも人口呼吸もしなかった。
耳の遠いお婆さんの肩を叩いて耳元で「おじいさん、息が止まっているよ」と伝えると、彼女はまた嘘を言うなと言う感じで僕の肘を叩いた。
「ほら、よくみてごらん。朝はゴロゴロ言っていたのが全然言ってないだろう。胸も動いてないだろう。お爺さんは息が止まって亡くなっているよ。」と言うと、今度はお爺さんの頭をぽんと叩いて「ほんまに、一生懸命看病しても看病した甲斐がないなあ・・」そう言ってお婆さんは大粒の涙をポロポロこぼして泣き出した。

普段は割と淡々と死亡をつげるのだけど、泣いている婆さんの背中をさすって頭を撫でて「お婆さん1人でよく看病したなあ。ご苦労様」と声をかけた。患者さんが亡くなったら、遺族を癒してあげるのがその患者さんにしてあげられる最後の役目だ。




この3ヶ月、週に何度も往診に行き、訪問看護婦さんは日曜もお盆も返上してご飯の食べられない爺さんの点滴に行ってくれた。そういうのも甲斐が無かったのかなあと思うと、ちょっとした脱力感に陥りそうになる。
僕だって、医者になってもう20年以上経ったし、死亡診断書だって多分100枚以上は書いていると思う。病気は治る病気ばかりではないし、医者は病気を治すだけが仕事ではないと頭では解っている。このお爺さんの死亡診断書の死因は誤嚥性肺炎だが、その原因は老衰。要するにこれは自然の経過のようなものだ。

僕が往診に行ったからこそ、訪問看護婦さんが点滴に行ってくれたからこそ彼は自宅で亡くなることができたし、彼の最後は1本の管も体に入ってなかった。まあ近くに住む息子さん夫婦が間に合わなかったのが少し心残りではあったが。
そういう風に思えば良いのは解っている。
解っているけど、どっかやりきれない気持ちは残るものだ。

死に往く人たちをずっと眺めて居なければならない仕事であるのは解っている。
けどまあ、これが医者の仕事だしね。人が死ぬのは当たり前だし。みんな死ぬんだし。
まあ家で死ねて良かったんじゃないの?
そんな風に人の死に慣れていきたくはないと思っている。

上手く書けないけれど、人間の死に携わる者としてあまり感情的にならずに淡々と仕事をこなしていくべきではあるのだけど、それでも死に関してはいつも新鮮な気持ちで居たい。
他人が「彼は家で死ぬことが出来て良かったじゃないか」と慰めてくれるのは嬉しいしそれで救われるけれど、同じように考えて自分で自分を納得させるのは積極的にやりたくないなあと言う気持ちなのだ。

こういう割り切れなさをずっと引き受けていかないといけない。
それは医者の業みたいなものではないかと思っている。











お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.11.01 00:49:25
コメント(7) | コメントを書く
[ちょっと医学なお話] カテゴリの最新記事


Category

Favorite Blog

賄い丼 New! pandanandaさん

神通川 ジョンリーフッカーさん

暑さ寒さも彼岸まで かやねずみの家さん

ちゃと・まっし~ぐ… ちゃと0508さん
Yokko’s Diary yokko_888さん
ツブコの茶店 ミドリツブコさん
幻泉館日録@楽天 幻泉館 主人さん
IN THE SUID… カープママさん
涙ひとつぶ落ちる前に 夏風7537さん
★宇都宮のシニア日本… 宇都宮のシニア日本語教師さん

© Rakuten Group, Inc.
X