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2007.11.12
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当院は日曜日も午前中外来をしている。
休診となるのは日曜の午後と祝日のみである。
労働基準局が聞いたら目を剥きそうだが、夫婦二人で交代で仕事をするから出来るスケジュールであって、僕の勤務は週36時間程度で済んでいるのだ。

職員だって完全週休2日制。盆や正月なんて月の半分ぐらい休んでるぞ~。まあ良いんだけど。

だから、常勤以外にパートの看護婦を2人、事務を3人来て貰っている。
日曜の外来は看護婦も事務もパートさんである。
だからと言うわけではないが、日曜日は普段と違って血液検査や胃カメラなんぞはやらないことにしている。あくまで、わざわざ日曜に病院へ来なければならなくなった患者さんを想定して・・のつもりだ。

しかし、こっちの思惑通りではなく、普段の慢性疾患でかかっている患者さんも別に調子が悪いわけでないのに日曜に来てくれたりする。まあ働いている人には便利なのかも知れないが。

他にも日曜日は、普段他所の病院へかかっている人が調子が悪くなって急に受診と言うケースも多い。だから、患者数の割に新患の患者さんが多いのだ。新患はカルテ作り、問診票の記入からやらないといけないので事務は結構忙しい。

で、今日も(ここからが本題)結構遠いところから30代の男性がやってきた。
この男性は来る前に電話をかけてきて、さんざん注射をしてくれるのか、点滴ではなく注射をと聞いてきたらしい。受付の方は診察して先生が必要と思えばやりますと答えたそうだ。

喉が痛くて熱があるその患者さんを診察したら、扁桃腺が両方とも腫れて薄く白苔(膿)が付着している。立派な扁桃炎である。
扁桃炎は高い熱が出るけど殆どが細菌感染なので抗生物質によく反応する。その点、普通のウイルス性の風邪よりも治りは早いのだ。
飲み薬だけでも良いだろうけど、熱が出て膿が付いているような人は抗生物質を血管内投与(要するに注射ね)してやるとさらに効果が早いだろうし、それと一緒に副腎皮質ホルモンを投与すると熱や痛みが引くのが早い。

最近の抗生物質は飲み薬でも優秀なので(と言うか、このタイプの抗生物質は注射薬が無いのだ)、注射よりも効果が強いぐらいだから飲み薬の投薬だけでも良いかもしれないが、ステロイドを一緒に投与したいのと、ー患者さんは熱が高いと注射を望む事が多いのでーそういう意味で抗生物質を一緒に点滴することが多い。


以前から風邪に注射しても効かないよと書いてるけど、こういうタイプはよく効くタイプなんですよ。


この副腎皮質ホルモン(ステロイドとも言う)と言う奴は諸刃の剣で、強い抗炎症作用を持つ反面免疫力を落として細菌感染を増悪させたり誘発したりする。
まあ、そういう意味で結構怖い薬だが、分かりやすく言うと短期に使う分には抗炎症作用が出て副作用の方はあまり気にしなくても大丈夫。長期に使う場合は十分に注意をしなければならないと言うところだ。
例えば、ステロイドを飲んでいる人は白癬菌症(水虫です)にかかりやすかったり、元々持っている水虫が悪くなったりするけども、足の指の間に出来て、ひどい糜爛になっている水虫は、まずステロイドを塗ってやって炎症を抑えた後に水虫の軟膏を付けてやらなければなかなか治らない。
それと同じような使い方で、ひどい扁桃炎の人には抗生物質と一緒に使うと抗生物質もよく効くようで実際耳鼻科のドクターはこういう使い方をよくやっている。

まあ、そういう訳でひどい扁桃炎の人にはステロイドと抗生物質を一緒に点滴することが多いわけだ。別にワンショット静注でも良いんだけど、初めての人には少しずつ様子をみると言う意味で100ccの生理食塩水に溶かして点滴する事が多い。まあ当院のクリティカルパスのようなものだ。

で、この男性は診察の後このような治療をしますと説明すると、点滴はやめて注射にしてくれと言う。いや、注射と点滴と言うのは速度の問題で同じ薬なんだよと言うと、血管内注射ではなく筋肉注射がいいんだと言う。
何で?と言うと、今まで何度も点滴したけど全然効かなかった。いきつけの病院でいつも筋肉にピっと注射して貰った方が早く治ると言う。

普通、医学的考えてもそういう事は考えにくいと思う。
筋肉に注射した薬は結局は血管内に吸収されて体に廻って作用する訳で、同じ薬を使うなら直接血管に入れた方が効率が良いに決まっている。
それに筋肉注射は痛い。PHが7から離れる程痛いのだ。ヒドイ場合には壊死を起こすこともある。だから、血管に注射できる薬が筋肉に注射出来るとは限らない(時に逆もあるけど)。


2本も注射するのは酷だし1つ混ぜると凄く量が多くなる。そもそも僕が使おうとした抗生物質は筋肉投与は出きないタイプだったし、ステロイドだってある。
筋肉投与出来る抗生物質も置いてあるが、それはどうしても点滴する時間の無い人や、血管が見つからない人の為で、普段はその薬だって点滴で投与している。

まあ、忙しい中、そういう旨をつらつらと説明したのだが、その男性はとにかく注射にしてくれ。そうでないと効かない。そうしてくれないなら、治療してくれなくて構わないとまで言う。
数年前なら「ほな、帰ったら?」と言ったかも知れないが、最近は人間が出来てきているし、遠いところから来た人を何もしないで(飲み薬は出すけれど)帰すのもしのびないので、結局は彼の言うとおり、筋肉注射の出来る抗生物質(僕の中ではセカンドチョイスになる)を注射して帰っていただいた。

こういうのは何か空しい。
それは、僕がこの患者さんを説得出来なかったとか、自分の思うとおりにさせられなかったと言うこととは少し違う。
僕らの間には全くコミュニケーションと言うものが存在しなかった。
彼は最初からこちらの言うことを聞くつもりはなく、自分のして欲しい事をして欲しいだけだったのだ。
まあ、サービス業なんだから相手のニーズに応えないとと言う面もあるだろう。
しかし、医療は単に品物を売ったり、料理を提供するようなサービス業とはまた違う。
ドクターはプロだし患者さんは素人である。
医者と患者は人間としては対等だが、医学的には対等ではない。
当たり前の事だが。
患者さんのニーズを聞きながらも、自分のプロとしての知識を動員して一番良い道を探すのがプロの医者としての仕事だと思っている。
そこにはコミュニケーションが必要でしょ、やっぱり。

高校3年の冬、共通一次試験(今で言うセンター試験ね)が終わってもまだ志望学部を決めかねていた僕が(文系か理系かさえもまだ決まってなかった)医学部を受験しようと思ったのは、東大へ行った何年か上の先輩が「医者と云うのは理科系だけど、人間を相手にする一番文化系的な仕事だと思う」と言ったのがきっかけだ。その一言で背中を押されたと言って良い。

だから、コミュニケーションがなりたたないと悲しいのよ。
まだまだ未熟かも知れないね。
こういうやりきれなさは、どっかでスパっと発散したい気もするし、いやいや自己反省のひとつとして胸の中に持っていて、時々思い出さねばとも思う。

因果な仕事や。







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Last updated  2007.11.12 01:03:30
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