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カテゴリ:日々の診療の狭間で
毎週土曜日の朝、診療前に訪問診療に行くお婆さんは、特にこれといって大きな病気はないけど、何と言おうか全体が弱っていて虚弱な高齢者と言う感じの人だ。特に夏の暑さには弱く、しんどいので受診そのものが難しくなる。
でも、身体はともかく口の方はとっても良く回る。息継ぎなしで延々と喋るので、この女性には大きな心臓疾患、肺疾患は無いなあと分かるのだ。 緊急用に携帯を教えてからは、週に何回も電話がかかってくるような状態だった。行ってみればそんなに丁皺悪いわけでもない。一人暮らしだしやはり不安なのだろうと思う。 そんなわけで、去年の夏の暮れから毎週お宅へ伺うようにしている。 やっている事は、簡単な診察と世間話である。 でも、それだけでも効果があるようで、携帯への電話が全く無くなった。 関東に住む息子さんと相談して、毎日ヘルパーさんに入って貰っているのも良かったのかも知れない。 実は彼女の次男と私が小学校中学校の同窓生なのである。 彼は年取ってからの子どもみたいで、彼女は私の母親よりは10歳近く年上だが。 11月頃は、庭の柿が採れないままに鳥のえさになっているのが悔しいので、むしってくれと言う。 庭に出て柿を取っていたら、「私も連れて行って~」と久しぶりに外へ出てきた。 今年は柿が不作のようで、患者さん達も誰も柿をくれなかったので、彼女の柿は嬉しかった。 先週は、自らお茶を入れてくれた。付け合わせのお菓子が甘いなあと言っていたら、今週は赤カブの漬け物がお茶請けに出てきた。静岡の新茶と赤カブの漬け物はなかなかに美味しかった。 この赤かぶは、静岡の名産だと言う。 そう言えば「赤カブ検事」ってテレビドラマがあったよなあ。 あの検事はかなり方言がきつかった。そう言えばドラマ「細うで繁盛記」に出てくる方言もこんな感じだった。あれは静岡の三島あたりの話しだったかしらと思いながら、家に帰ってPCで検索したら、赤カブ検事は飛騨高山の話で、検事さんの方言は名古屋弁らしい。 そして細うで繁盛記は伊豆の話だった。 人間の記憶って曖昧だね。 ともあれ、婆さん来週は何を出してくるだろうか、楽しみにしているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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