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カテゴリ:死に方は生き方
直木賞受賞作 ともぐい
ともぐい [ 河崎 秋子 ] 河崎秋子氏の作品は昨年秋ごろから読み始めていました。北海道の厳しい自然の前で人がそれでも生きていこうとしている姿は、こころに沁みます。 桜木紫乃氏の書き方によく似ているなあと感じています。 ともぐい を読んで・・・・ 私なりに感じたのは、「死に方」です。人が生まれるときは本人には何ら意思は働きませんが(おそらく)死ぬときは(事故などの突然な出来事以外)「ああここで終わるなあ・・」ということがわかる。 主人公は穴持たずのクマを殺すことが生きる目印だったが、それがかなわなぬ時次の目印を見つけたけれどそれもかなわなかった。 主人公の生活は毎年同じことの繰り返しではあるが、それを確実に行うことが大事で怠ることは自分が許さない。 生まれてきたことは育ててもらった養父のことは、おぼろげに覚えているけれどそれは自分の意思ではない。主人公に許されているのは自分の生き方とそれに終わりを告げることだ。 許されているというのは、主人公が自分の生き方を決めている主導権を唯一持っているということ。 目印を失ったとき主人公は自分をどうやって終わらせるかと・・・・ 主人公にとって山での生活がすべてであり、それ以外は生きているとはいえない。 二つ目の目印との格闘の時自らの体が壊れた。「ああこれで終わりだ」と悟った。 そこで里に下りて生きながらえる道はありえない。そうなればどうやって自分を始末するかだ。 そこで伴侶をみつけ一緒に住みやがて・・・・ 潔さと言えなくなないが、現代の言葉でいうなら「アップデートできない人」「つぶしがきかない人」 だろう。現代としては融通の聞かない人なのだが、長く生きることが素晴らしいとは言えない。 人生観について考えた一冊。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 5, 2024 03:33:10 PM
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