あの「不経済なチーズケーキ」が帰って参りました。

過去の「不経済なチーズケーキ」の話はもうすでに削除してしまっているので、誕生した経緯からお話いたしましょう。

チーズケーキ。

甘くて酸味もあって、チーズ嫌いの人でも「これなら食べられる」ということも多いチーズケーキ。

きっかけは、とあるペンション。
そこでは夜のオヤツに焼きたてのカマンベールチーズケーキを提供するのが売りでした。

夜は１０時半頃に出されたオヤツだったので、早く寝てしまう我々は焼きたてを食べることはできなかったものの、翌日の朝食後にそれをいただくことができたのでしたが、冷えてしまってはいたものの、それはもうチーズの味が口いっぱいに広がる濃い、とにかく濃い味のチーズケーキでした。

それまで私は家でも作ることがあったのですが、何かが物足りないと感じていたので、作ってくださったペンションのオーナーさんに訊いてみると、

市販されているもので、チーズなんか申し訳程度にしか入っていないのにチーズケーキと謳っているものが多すぎる、チーズの味などほとんどしない。では自分で本物のチーズケーキを作ってお客さんに食べさせようと採算度外視・赤字覚悟でカマンベールをたっぷり使ったそのケーキのレシピを確立させたということでした。

チーズケーキに対する熱い思いを聞きながら私はそれまで使っていたレシピを思い浮かべました。なるほど、チーズの分量以外のものが結構多い。

ようし、
それでは私も本物のチーズケーキを作ってやれと思い立ったのでした。

私はパン屋さんで売っている「クリームチーズデニッシュ」だとか「クリームチーズパイ」なるものが大好きで、どこかで見つけると必ず買ってしまうのですが、その中身はクリームチーズに砂糖を加えただけのもののはずなのに、あんなにおいしいではありませんか。

ということは、
極端な話、クリームチーズに砂糖を加えたものを焼いただけでも立派なチーズケーキになるはず。

なので、
無謀にもそれまで使っていたレシピのチーズの分量を２倍に増やしてみました。

卵は極限まで減らして、それまでは2個使用していたところをチーズが増えたにもかかわらず半分にして1個。
小麦粉は少ない量だったのをさらに減らす。

お砂糖は若干増やして、
生クリームの量と少々使っていた牛乳の量はそのまま。

酸味のためのレモンは、大匙1だったところをこれまた大幅に増やして3～4。

イチかバチかでやってみたところ、
濃い～濃い～それは濃厚なチーズケーキが出来上がったのでした。これぞ私が求めていた味でした。

しかし、
同時これは大変にコストのかかるチーズケーキでもあったのです。

昨日仕入れてきたクリームチーズは250グラム。
それを二箱。
生クリームはちろんん乳脂肪のクリームで、1パック200ミリリットルをまるまる投入しました。

これだけで、もう卒倒するようなお値段になっております。
不経済なことこの上ありません。

だいたい、
これだけの材料を使い散らかしたらまずくなりようがありません。

前回作ったのは昨年の10月。
うまいうまいと食っちまったものの、あまりに不経済なのでそのまま封印されてしまったのでした。

しかし、明日お客さんを迎えることになり、何をごちそうしようかと考えていたところこのチーズケーキのことを思い出したのでした。これなら作って冷やしておけばいいので今の季節にはもってこいです。

これを作るのは本当に楽しいのです。
これだけダイナミックにやると作り応えがあります。

オーブンで80分焼くのですが、焼き応えも満点。
オーブンをのぞくのが楽しくなります。

焼きあがったそれを冷ましてから冷蔵庫へしまい、
しっかり冷えたそれを休みを取った夫と早速味見。



味見に夢中で、気がついたときにはパックマンに変身していました。

うまいです。
二人で転げ回るほどうまかったのです。



不精してクッキングシートを入れなかったために側面がぼそぼそになっていますが、これもまた家菓子ならではの臨場感を出すための演出になっています。

先日友人がやってきた折には食事を作りすぎてデザートまで楽しむ余裕がなくなってしまった苦い経験があるので、明日はデザートまで思う存分楽しめるようお料理はかなり控えめに作ろうと誓った私なのでした。



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