夜汽車
今日、渋谷で宅八郎さんを見かけました。最近見ないなと思っていたら、なんと、渋谷区長選挙に立候補しているではありませんか。この写真を撮った40秒後に宅氏が現れました。ずいぶんとお年を召されたように感じました。***さてさて、夕方の丁度いい時間帯だったので東京駅に寄り道して夜汽車を見てきたよ。九州へ行くこの列車は、北九州の門司まで一緒に行ってそこで切り離されて、それぞれ熊本、大分へと向かうんだ。ホームに入線する時はこれに引っ張られてきて、そして、チョンとちょん切られるの。そしたら寝台特急富士のできあがり。北海道生まれの私は、いつもこの扉を見て本州と北海道の違いを大いに感じるんだよ。雪のあるところでは見られない折戸。雪があると扉の開閉ができなくなっちゃうからね。昔は人気のあったこの列車も、今や飛行機を利用する人が圧倒的に多いので土曜の夜だというのにお客さんはまばら。乗客よりも、この列車を撮影に来ているヲタの方が多いくらいだよ。ヲタよ、撮影するばかりではなく乗っておくれ。そうしないと廃止になっちゃうよ。A寝台があいていたので、ちょっとのぞいて見ました。右側のテーブルは、パカッと開けると洗面台に。ベッドは広くないけれど、到着までは自分の部屋だから何をして過ごしたっていいんだから快適。定刻発車。熊本到着予定時刻は明朝11:48。大分到着予定時刻は明朝11:18。さて、次は上野にやって参りました。上野駅の下の、行き止まり式のホームは何とも旅情をかき立てるんだな。山手線や京浜東北線の走る忙しいホームとは違って、ちょっと非日常の香りがするんだよ。そのホームへバックしながら入線してくる寝台特急北斗星。北へ向かうこの列車はお客さんも多くてなかなか賑わっているんだよ。先ほどの「富士」や「はやぶさ」とは大違い。同じ寝台特急なのに光と影のよう。食堂車の準備も整って、あとはテーブルクロスを広げるだけになってる。お星さまは寝台車のマーク。やっぱり夜汽車はいいなぁ。見てるだけでも旅気分満点なのさ。立派な御尊顔もどうぞ。札幌到着予定時刻は明朝11:15です。***私も夫も夜汽車が大好きで、どこか遠くへ行く時には必ずといっていいほど往路に寝台車を使っています。旅支度を終えて夜汽車に飛び乗ると、窓の外に見えるのは通勤電車や家路に急ぐ人々という日常の光景。でもそれを見ているのは非日常の空間に身をおいている自分というのが、旅立つ気分を一層盛り上げてくれるのです。青森にいた高校生の頃、北海道への帰省の際に利用し、大学受験のため上京した際も何故か寝台車を利用しました。上野-札幌を結ぶ「北斗星」は、大学生だった頃は帰省する際に利用し、結婚する前の遠距離ナントヤラの時代にも利用し、そして結婚した後は帰省の手段として利用しています。「北斗星」は夫も大好きで、札幌に赴任する時にも、札幌から東京へ異動になった際にも利用し、その後は出張の予定を複雑にしていかにうまく「北斗星」を利用できるように画策したりしていました。以前に大阪-札幌を結ぶ「トワイライトエクスプレス」のことは書きましたが、それに次ぐ長い距離を走る「さくら」に乗って長崎へ行ったこともありました。東京から長崎まで約19時間をかけて走る「さくら」は、北斗星やトワイライトエクスプレスのような食堂車やサロンカーなどの豪華な設備もなくて寝台のみという大変質実剛健な列車でしたが、それはそれで楽しいものでした。(「さくら」は残念ながらその後廃止になりました。)東京から「出雲」に乗って島根の旅へ出たこともありました。(「出雲」もまた廃止になりました。)昨年のゴールデンウィークには、今日見てきた「富士」に乗って意気揚々と九州の旅に出かけたのですが、よりによってそのような日に地震にあって足止めをくらい、挙句の果てには岡山で放り出されるという何とも悔しい出来事もありました。(救済措置ということで、いろいろなものを乗り継いで大分へたどり着きましたが。)非日常の空間の中でいろいろ考え事をするのは、忙しい現代の中ではものすごく贅沢なことをしているような気分になるのです。だから寝台車の旅はやめられないのです。