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2007年05月21日
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カテゴリ:読書感想文
ナターシャ(デイヴィッド・ベズモーズギス/新潮クレスト)

ある秘密(フィリップ・グランベール/新潮クレスト)

薄くて軽くて持ち歩きに便利と思って買った新潮クレスト(海外小説の良品の翻訳ソフトカバーシリーズ)を居間のソファーで2冊読んじまって、また外に持ち歩くには重い本ばかり残される・・・。

意図したわけじゃないけれど、2冊ともユダヤ系の作家のお話。

「ナターシャ」はユダヤ系ラトヴィア系カナダ人作家。生命感あふれる非常に端正な連作短編で、新人作家の1冊目とは思えない。主人公のマークは途中ちょっとぐれかけつつも、結局とても家族思いのよい男の子に育ちます。よい子すぎて少し物足りないけど、作者はこんないい人なんだろうなぁ、と思います。私小説の色合いが強いので、今後「自分史」を抜け出したところでどんなものを書くのか楽しみ。

「ある秘密」は、ユダヤ系だと15歳まで知らされずに育ったフランス人精神科医のお話。ナチ占領下のフランスで起こったユダヤ人一家の悲劇と、それを乗り越えて生きていく力が書かれています。
フランスではゴンクール賞という(芥川賞みたいな)権威ある文学賞の1部門を、高校生の投票によって選ぶそうです。この作品はそれに選ばれているのですが、はっきり言ってとてもレベルが高い。フランスの高校生って哲学教育とかが根付いているからでしょうか、ちゃんとしたものをちゃんと読める力があってすごいな、と思います。日本でやったらろくでもないのが選ばれたりして。どうだろう?
高校生の選ぶゴングール賞





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最終更新日  2007年05月21日 13時13分10秒
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